原油、WTI、OPECプラス、米原油在庫統計、米NFP - トーキングポイント



5日のニューヨーク・マーカンタイル取引所でウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油先物は前日比2%近く上昇し、今週の上昇率は現時点で約10.3%となっている。この上昇を維持できれば、原油相場の週間上昇率は2月下旬以降最大となる。2月下旬は、ロシアがウクライナに侵攻し、世界最大の石油輸出国の一つであるロシアによる原油供給が途絶えるのではとの懸念が高まった時である。
5日は、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非加盟国で構成される「OPECプラス」の動向に注目が集まっていた。OPECプラスは、11月以降の原油の生産量を日量200万バレル減らすことで合意した。これは、2020年の新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的流行)発生時に加盟国が協力体制を整え始めた時期以来の大規模な減産となる。
実際には、この減産は予想を下回るかもしれない。サウジアラビアのアブドルアジズ・ビン・スラマン・エネルギー相によると、加盟国の多くが生産目標の達成に苦労しているのが現状だという。これに対し、米国政府は、戦略石油備蓄から約1,000万バレルを放出すると表明したと、ブルームバーグは伝えている。
一方、米エネルギー省(DOE)が5日発表した9月30日までの一週間の全米原油在庫は予想に反して136万バレル減少していた。この在庫減少は、OPECプラスの発表による後押しに加え、5日のWTI原油先物の上昇を促した。また、米国株が日中の大幅な下落から上昇に転じてプラス圏で取引を終了し、リスク選好度が高まったことも下支えとなった。
こうした相場の動きを念頭に置きつつ、原油トレーダーは7日午後9時半(日本時間)に発表される9月の米雇用統計に注目している。9月の米非農業部門雇用者数(NFP)は、伸びは縮小傾向にあるものの、前月比26万人増加すると見られている。前月は同31万5,000人増だった。失業率も3.7%で安定的に推移すると予想されている。今週初め、米雇用動態調査(JOLTS)で8月の非農業部門の求人件数が予想外に減少し、米連邦準備制度理事会(FRB)の過度な引き締め政策への警戒感が和らぐきっかけとなった。NFPが期待外れの結果となった場合、同じことが起こる可能性があり、世界の景気動向に左右されやすい原油相場は上昇する可能性がある。
原油相場 テクニカル分析 - 日足チャート
WTI原油先物は、20日単純移動平均線(SMA)を上回るブレイクアウトを確認した。価格は現在、50日線を試している。この50日線が上値抵抗線として機能し、下降トレンドが維持される可能性がある。これがレジスタンスとして機能しない場合、相場の方向性は弱気ではなく、中立になるかもしれない。さらに高値でブレイクアウトした場合は90.37が意識され、その後は95.01-97.35の変曲点ゾーンが視野に入ってくる。下降トレンドが維持された場合は、9月安値に焦点を戻すことになる。




資料:TradingView
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
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