原油、米ドル、WTI、ブレント、ロシア、FRB、景気後退、インフレ - トーキングポイント



6月中旬に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が公表されると、米ドルは急騰したが、原油相場は3カ月ぶりの安値に下落した。
米連邦準備制度理事会(FRB)は、高インフレの定着を避けるため、たとえそれが景気の減速につながるとしても、金利の上昇はしばらく継続させる必要があると指摘した。これを受け、米国債利回りは再び、幅広い年限で上昇した。
インフレ率の急上昇はコモディティ価格の高騰に大きく起因しているが、コモディティ相場がそのようなインフレに対するFRBの政策対応の犠牲になっているのは、いささか皮肉な話である。
米ドルは、他の通貨だけでなく、コモディティ価格に対しても全面的に急上昇している。原油価格の最近の下落は、景気後退懸念と金利上昇に起因している。原油市場の相場原動力が著しく変化しているわけではない。
欧米諸国はロシアの原油価格に上限を設けることを検討しており、世界的な供給不足は依然として問題である。エクアドル共和国では政治的緊張が緩和され、ほとんどの生産が再開されたが、リビアとカザフスタンは石油製品の供給において引き続き問題を抱えている。
一方、油田開発サービス会社ベーカー・ヒューズの最新データによると、米国で先週末に石油掘削リグが1基増設されたことが明らかになった。1年前には376基だったリグ総数は現在、595基となっている。
しかし、アナリストの予測に大きな開きがあるのは、生産者と消費者が直面している不確実性を反映しているのだろう。
シティグループは、価格上昇が需要の崩壊を引き起こし、需給関係により価格は下がるとし、1バレル=65米ドルとなると予想している。一方、JPモルガンは、最悪の場合、原油価格は来年には380米ドルまで上昇する可能性があるとしている。
WTI原油先物のテクニカル分析
WTI先物は直近の急落により、2つ前の安値を下回り、3つ前の安値付近である95.10近辺にとどまっている。この水準が引き続き下値サポートとなる可能性がある。
さらに下降トレンドとなると、200日単純移動平均線(SMA)のすぐ上に位置する安値水準である93.53と92.93もサポートとなる可能性がある。
上値では、5日SMAのすぐ下に位置する101.53のブレイクポイントが目先の上値レジスタンスとして意識されそうである。

資料:TradingView
バックワーデーションとは、決済期限が最も近い期近物が、期先物よりも高い状態であることを指す。これは、受け渡しが先になる物よりも、すぐに受け渡しができる物の方に高い金額を支払いたいという市場心理を表している。
ここ数日、バックワーデーションは緩和しており、原油価格が3月高値の1バレル=130.50米ドルへ向けての上昇が目前に迫っている可能性は今のところないことを示唆している。
この動きを相殺する可能性があるのが、原油相場のボラティリティを示すOVX指数である。同指標は、原油価格の上昇に対して楽観的な見方を継続しており、この上昇に慣れつつあることを示唆している。
今後については、本日、米エネルギー情報局(EIA)が発表する原油在庫量に注目されたい。
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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