原油、米ドル、WTI、ブレント、FRB、OPECプラス、リビア、コンゴ、UAE、オマーン、カザフスタン、イラン - トーキングポイント



今週初め、原油先物相場は回復した。北半球が秋に向かう中、供給問題が引き続きエネルギー備蓄に対する懸念材料となり、原油先物を買う動きが強まった。
米ドルが広範にわたって大幅高になったにもかかわらず、原油先物相場は上昇した。米ドル高は先週、米連邦準備制度理事会(FRB)が市場予想よりも長期にわたって金利を引き上げる意思を示したことが背景にある。
先週、サウジアラビアと、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国で構成されるOPECプラスからは、原油先物相場の方向性を定めるような発言があった。サウジアラビアのアブドルアジズ・ビン・サルマン・エネルギー相は、必要と判断されれば減産もあり得ると述べた。
その後、OPECプラスのハイサム・アルガイス事務局長は、原油市場の継続的な問題として、余剰生産能力を挙げた。
29日には、アラブ首長国連邦(UAE)、オマーン、コンゴが、先週サウジアラビアが表明した「原油価格が下落すれば、減産の可能性がある」という見解を支持しているという未確認の報道がなされた。
また、リビアの政情不安が再燃しており、市場はリビアの原油生産が脅かされる可能性があると見ている。カザフスタンの港湾施設に問題があり、同国の石油輸出に影響が出ているという報告もある。



さらに、米国が目指す2015年のイラン核合意の早期復活への期待も失われつつある。
原油先物相場の緊張をさらに高めているのは、代替エネルギーのコスト高騰である。ロシアから主要パイプライン「ノルドストリーム1」経由で天然ガスが送られている欧州にとって、その現象は特に打撃となっている。
ロシアからの原油供給が不足していることにより、天然ガス価格が高騰している。欧州天然ガス価格指標のオランダTTFの先物価格は、一時は1メガワット時あたり350ユーロ近かったのが、現在は300ユーロを下回る水準に戻っている。これは喜ばしいことだが、6月の安値である80ユーロをまだ大きく上回っている。
TTF先物価格の反落は、欧州連合(EU)の現在のガス貯蔵量が79.4%と、目標水準である80%を予定より2カ月早く達成しそうなことが好感されたためである。
原油先物市場では、ボラティリティが落ち着いている一方で、バックワーデションが再び上昇しており、市場の構造がさらなる相場上昇を下支えする可能性がある。
WTI原油先物、バックワーデション、ボラティリティ(OVX)

資料:TradingView
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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