原油価格 -トーキング・ポイント-
原油価格は、米国の在庫が予想外に増加したことを受け、週間安値(114.60ドル)まで下落、6月のオープニングレンジを守ることができなければ、今後数日間、さらなる下落に直面する可能性がある。
原油価格、米在庫・生産量の増加で6月安値視野に
原油価格は、今月初めに5月高値(119.98ドル)を上抜けた後、年初来高値(130.50ドル)を試す勢いに見受けられたが、RSI(相対力指数)が買われ過ぎの水準への到達には至らなかった後は下降線をたどっており、6月安値(111.20ドル)からの上昇は抑制の方向へ向かうと見られる。

6月10日時点の週間石油在庫は、予想では131.4万バレルの減少であったのに対し、195.6万バレルの増加となっており、米国発の動きが原油価格を左右しそうである。
石油輸出国機構(OPEC)は「7月の生産量を日量64万8000バレルに上方修正する」と決定したが、米国の生産量が2020年4月以来の高水準に上昇する中、需要緩和の兆しを受け、現行の生産量を据え置く可能性がある。

エネルギー情報局(EIA)が発表したデータを精査すると、1,190万バレルだった6月3日時点の週間石油生産量は1,200万バレルに増加している。最近の供給増加は需要の鈍化を示唆しており、6月30日に開催されるOPEC閣僚会議を前に、米国で発表されるデータが原油価格に影響を与えるかもしれない。
とはいえ、原油価格は年初来高値(130.50ドル)を試したが、その試みは失敗したため、原油価格にはさらなる下落圧力がかかり、月間安値(111.20ドル)を下支えできなければ、今後数日間、さらなる下落に直面する可能性がある。
原油価格日足チャート

資料: Trading View
- 最近の原油相場の上昇は、年初来高値(130.50ドル)を前に失速したように見える。RSI(相対力指数)は買われ過ぎの水準への到達には至らず、6月のオープニングレンジを守れない場合、原油相場はより大きな調整局面に直面する可能性がある。
- 115ドル(23.6%リトレースメント)をわずかに下回れば、112.80ドル(161.8%拡大)から113.70ドル(78.6%拡大)の付近が再び視野に入り、月間安値(111.20ドル)を下回ると108.10ドル(61.8%拡大)付近までが視野に入る。
- 原油価格は、50日SMA(108.76ドル)に沿って動く可能性があり、今年初めに見られたような移動平均の正の傾斜に反応するようであれば、その傾向は続くかもしれない。
- 6月のオープニングレンジが守れれば、原油価格はそのレンジ内の動きにとどまるかもしれないが、年初来高値(130.50ドル)を再び視野に入るには120.90ドル(100%拡大)近辺を上抜ける、または肉薄する必要がある。



--- DailyFX.com 為替ストラテジスト デイビッド・ソン著
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