※2023年6月8日14時42分更新
原油、OPECプラス、WTI、ドル、VIX指数、RBOB、OVX指数 - トーキングポイント
- 原油は、8日の取引に向けて方向感がないように見える
- OPECプラスの「ロリポップ」はすでに織り込み済みで、レンジ取引
- 基本的には今のところ、レンジ相場であることが再確認されているようだ



原油先物相場は、週初に5週間ぶりの高値を付けた後、レンジ内に戻るという波乱の展開となったが、その後は安定した動きとなっている。
このような値動きは、多くの資産クラスで見られる特徴で、レンジを形成した後、上下どちらかにブレイクし、再びレンジ内に戻ってくるというものだ。
マクロ経済的な観点からは、この値動きは、中央銀行が景気を後退させることなく、インフレを抑制しなければならないというジレンマに直面していることを反映しているのかもしれない。
最近まで、金融引き締めは必要であると見なされ、金融システムの安定と社会の繁栄を長期的に実現するためには、ある意味、不可欠とも考えられていた。問題は今、金融政策の先行きに対して不透明感があることで、市場の動きは、金利動向が見極めづらくなった現在の状況を反映しているように思われる。
市場全体のボラティリティを見ると、この方向感に欠けるパターンが定着していることが分かる。
注目度の高いVIX指数は今週、2020年2月以来の低水準に落ち込んだ。VIXはS&P 500種株価指数のボラティリティを示す指数である。
債券、為替、原油、金のボラティリティを示す同様の指数は、ここ数日で崩れている(下図参照)。ボラティリティが低ければ、レンジ取引となる可能性がより高まるだろう。
複数市場のボラティリティチャート - 債券(MOVE指数)、S&P 500(VIX指数)、原油(OVX指数)、金(GVZ指数)、為替(EVZ)
資料:TradingView
原油については、4日に主要産油国で構成する石油輸出国機構(OPEC)プラスが減産に合意したと発表したが、原油相場の押し上げ効果は続かず、むしろ世界的な需要の低迷が明らかになったように思われる。
一方、米国は、原油が1バレル70ドル以下になった場合、戦略石油備蓄(SPR)を補充する計画であることを明らかにしている。
原油相場をサポートする可能性があるのは、今週再び上昇した米国のガソリン(RBOB)価格のクラックスプレッドだ。RBOBクラックスプレッドは、原油価格―ガソリン価格で計算される指標で、精製業者の利益率を反映している。一般的にガソリン需要が強いと、ガソリン価格が原油価格よりも割高な状態となるため、クラックスプレッドは拡大する方向に動く。
RBOBとは、酸素混合用改質ブレンドストックのことで、取引可能なガソリン品質を表している。精製業者の収益性が上がれば、石油製品の需要増につながる可能性がある。
同時に、ウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油先物における2つの期近物の価格差は比較的緩やかで、今のところレンジ相場シナリオが維持されていることを示唆している。
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WTI原油先物、クラックスプレッド、逆ざや/順ざや、ボラティリティ (OVX)
資料:TradingView



--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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