WTI原油、天然ガス、中国―トーキングポイント



中国経済、6月に向けて回復スピード早まる?
中国では、昨年末にゼロコロナ政策を撤廃して以降、一時中国景気の急回復に対する期待感が高まったものの、その後の経済指標が期待を下回るものが多かったことから、期待は萎んでいる。中国にて4-6月期のGDP成長率に加え、各種経済指標が公表されたものの、景気回復が緩やかなものにとどまっていることが改めて示された。
しかしながら、中国当局は、利下げの実施や景気刺激策を模索する等、低迷する中国景気の回復に向けた動きが徐々に見られている。景気回復に対する市場の期待値が下がっている中、市場予想を上回る景気回復を今後示した場合や当局が強力な景気刺激策を打ち出した場合、原油や天然ガスの一大消費国である中国の景気回復スピードが早まるとの思惑から、資源価格を押し上げる可能性がある。
中国経済指標(17日公表)

原油価格見通し
原油価格は、日足チャートで、上昇トレンドへの反転パターンである逆ヘッドアンドショルダー(逆三尊)が示現している。また、20日指数移動平均線が50日指数移動平均線を上抜ける強気の「ゴールデンクロス」が成立している。
一方、中国経済指標が弱かったことによる需要減速に加え、デモ活動により生産が停止していたリビア最大級のシャララ油田にて、生産が再開したことを受け、供給懸念が後退したことから、原油価格は下落している。原油価格は、6月末高値74.92ドルを再度下回っており、6月21日高値72.68ドルでサポートされるかに注目。サポートされた場合、原油相場の地合いが強いことを投資家に印象付けよう。一方、下方ブレイクした場合、最近の上昇が一時的との思惑から、心理的節目である70ドルに向けて下落するシグナルとなろう。
21日高値72.68ドルでサポートされた場合、米国の利上げ局面終了が視野に入りつつあり、主要産油国であるロシアやサウジアラビアも原油減産や価格安定に向けて協調姿勢を示している中、原油価格の一段高を見込む。4月24日高値79.14ドルが視野に入る。
WTI原油価格日足チャート

変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 8% | -7% | -2% |
週次 | 2% | 1% | 1% |
資料:Trading View
天然ガス価格見通し
上昇トレンドの一時的な停滞を示唆する上昇フラッグパターンを形成している。強い価格上昇の後に、トレンド内で短い停滞が起こる継続パターン(右肩下がりの平行チャネル)である。保ち合いの後は上方ブレイクして上昇トレンドが続くことが期待される。上抜けた場合、天然ガスに対する見通しを強気にする可能性が高まり、3月高値3.03ドル更新が視野に入る。ただし、当面は上昇フラッグパターン内で推移する可能性があるため、短期的には中立~弱気である。
天然ガス価格が下落した場合、上昇フラッグのトレンドラインのサポートライン(現在2.47レベル)で維持されるかに注目。サポートされると、フラッグのレジスタンスラインに向かって再度上昇が視野に入る。
天然ガス価格(NG1)日足チャート

資料:Trading View



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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著