※2023年7月13日15時33分更新
原油、ブレント、WTI、ドル、米CPI、FRB、石油在庫、逆ざや、ボラティリティ指数 - トーキングポイント



米インフレ率の伸びが鈍化したことを受けドルが大きく後退したため、12日のニューヨーク原油先物相場は10週間ぶりの高値を付けた。米原油先物指標のウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)は一時、76.15ドルの高値まで上昇し、ブレントは80.55ドルまで上げ幅を拡大した。
12日のニューヨーク外国為替市場でドル相場は、一握りの新興国通貨を除き、すべての通貨に対して下落して取引を終えた。原油をはじめとしたコモディティ市場は全般にわたってドル安の恩恵を受けた。
6月の米消費者物価指数(CPI)総合指数は前月比0.2%上昇と、予想(同0.3%上昇)をわずかに下回った。5月の上昇率は同0.1%だった。前年同月比での伸びは3.0%と、予想(3.1%)にわずかに及ばず、5月(4.0%)からは大きく低下した。
6月のCPIコア指数も低調だった。前月比の伸び率は0.2%と、予想(0.3%)、前月(0.4%)をともに下回り、前年同月比でも4.8%と、予想(5.0%)、前月(5.3%)をともに下回った。
物価上昇圧力が緩和したことで、米国債利回りは軒並み低下し、特に2年物から10年物の利回りは低下が目立った。
金利市場は今回の米CPIの結果を、米連邦準備制度理事会(FRB)が2024年に金融引き締め政策を緩和する可能性が高まったと解釈したようだ。ドル指数を見ると、ドルは現在、FRBが2022年5月に利上げを開始する前の水準まで下がっていることが分かる。



原油の上値を抑えたのは、恐らく在庫統計だろう。米エネルギー情報局(EIA)が12日に発表した週間石油統計によると、7月7日までの1週間の原油在庫は前週比594万6,000バレル増加した。増加幅は、市場予想の48万3,000バレルを大幅に上回った。
同日発表の米石油協会(API)の週間石油在庫統計でも、同期間の原油在庫は302万6,000バレルの増加と、EIAと同じような結果だった。438万2,000バレル減少した前週からは一転、増加に転じた。
WTI原油先物の2つの期近物の価格差も、原油相場を支えているようだ。これは逆ざやの状態を指し、期近物が期先物よりも高い価格で取引されている。すなわち、買い手は受渡しが早まるなら、より多くの価格を支払う意思があることを潜在的に示している。
同時に、原油価格のボラティリティを予測するOVX指数は落ち着いた状態を維持しており、原油市場が最近の値動きに動揺していないことを示唆している。
先行きについては、中国の景気刺激策への依存度が再び高まっていることに注目されたい。大型の経済活性化策が発表されれば、原油相場の支援材料になるかもしれない。
WTI原油先物、逆ざや/順ざや、ボラティリティ(OVX)
資料:TradingView
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
マッカーシー氏に連絡するには、Twitter で @DanMcCathyFX までお願いいたします。