※2023年7月6日16時00分更新
原油、WTI、OPECプラス、FRB、欧州中銀、中国、米石油在庫、OVX、クラックスプレッド - トーキングポイント



6日の原油先物相場は底堅く推移している。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国でつくるOPECプラスの当局者が5日、ウィーンで協議した内容が好感されているようだ。
サウジアラビアのアブドルアジズ・ビン・サルマンエネルギー相は、原油価格の安定について「必要なことは何でもする」と述べた。
今週初めにサウジアラビアは、現在7月までとなっている日量100万バレルの減産を8月まで延長すると発表した。さらにロシアは日量50万バレルの減産を実施する。
世界経済の成長見通しがやや停滞しているなかでの供給削減である。
欧米諸国では今後数カ月、さらなる金融引き締めが予想されているが、エネルギー輸入大国である日本だけは例外だ。
米連邦準備制度理事会(FRB)は6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で金利を据え置いたが、今月末の会合で再び利上げに踏み切るというのが大方の見方である。
5日に公表されたFOMC議事要旨(6月開催分)では、複数の参加者が利上げ継続を支持していたことが明らかになった。
欧州中央銀行(ECB)当局者の発言から、市場は2023年内のECBによる利上げも織り込んでいる。
物価上昇圧力の抑制は、中期的には世界の多くの地域において経済活動の妨げになるかもしれない。
さらに、5日に財新が発表した中国のサービス業購買担当者景気指数(PMI)が予想を下回るなど、中国経済を活性化させようという試みは、依然として軌道に乗り切れていない。6月のPMIは53.9と、予想(56.2)、5月(57.1)をともに下回った。PMI総合指数は5月(55.6)を下回る52.5だった。
米石油協会(API)が発表した6月30日までの1週間の在庫統計は、438万2,000バレルの減少となり、原油相場を下支えているようだ。前週は240万8,000バレルの減少だった。



ウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油先物相場の値動きは基本的に、原油価格の見通しに左右されていないように見える。
シカゴ・オプション取引所(CBOE)が算出・公表する原油価格のボラティリティを予測するOVX指数は、S&P 500種株価指数のボラティリティを示すVIX指数と同様の方法で算出される。原油のボラティリティは依然として低く、価格の方向性に対し、市場は確信を持てないでいる状況を示しているのかもしれない。
同時に、期先物2つの価格差は均衡に近く、これは市場の均衡度合いを示しているように見える。
さらに、米国のガソリン(RBOB)価格のクラックスプレッドは先月、上昇を試みたが、その後はロールオーバーの動きが見られる。RBOBクラックスプレッドは、原油価格に対するガソリン価格の指標であり、一般的にガソリン需要が強いと製油所の利益率が上がり、同スプレッドは拡大する。
RBOBは、取引が可能なガソリン品質である含酸素改質ガソリン基材を指す。製油所の採算性が低下し続ければ、原油製品の需要が減少する可能性がある。現時点では、製油所の採算性は大きくも小さくもないようだ。
市場の均衡が保たれれば、原油相場はレンジ取引がさらに増える可能性がある。最新の原油価格はこちらで確認できます。
WTI原油、クラックスプレッド、逆ざや/順ざや、ボラティリティ(OVX)
資料:TradingView
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
マッカーシー氏に連絡するには、Twitter で @DanMcCathyFX までお願いいたします。