金、金/米ドル、原油、WTI原油先物、景気後退懸念、FRB – トーキングポイント
- 15日のNY原油と金は大幅下落、ボラティリティが上昇
- 堅調な米経済指標は、タカ派的なFRBの正当性を高めた
- 週末を前に、市場はミシガン大学消費者信頼感指数を注視



15日のニューヨーク市場では、ボラティリティが再び高まり、原油と金の先物相場は不安定な値動きとなった。予想よりも強い内容となった米経済指標が主な要因だったと思われる。週ごとに発表される新規失業保険申請件数(21万3,000件、9月10日までの週)、8月の小売売上高(前月比0.3%増)はそれぞれ予想(22万7,000件、同0.1%減)よりも強い内容となった。短期の米国債利回りは今年の最高水準まで上昇し、米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派的な金融政策を予想する見方が増えていることを示唆した。
ボラティリティが高まると、市場間の相関が強まる傾向がある。金先物相場は、ドル高と米国債利回りの上昇に脆弱である。この2つの市場が同じ上昇の方向に動いたことは、金にとっては大きな打撃となった。15日のニューヨーク金先物相場は前日比1.89%安となった。終値ベースではないが年初来安値を更新し、一時は2020年4月以来の安値水準まで下落した。
センチメントに敏感に反応する原油については、世界的な経済成長減速懸念が高まっていても、それが相場を下支える要因にはならなかった。米アトランタ連銀が算出するGDPナウによると、第3四半期の米国内総生産(GDP)予想は0.5%増と、1週間前の1.3%増から下方修正された。注目される10年-2年米国債のイールドカーブ(利回り曲線)を見ると、利回り逆転が拡大している。その利回り格差は8月の安値水準であるマイナス50ベーシスポイントに近づいており、経済成長懸念の高まりを示唆している。
発表を控える経済指標は週末に向け少なくなっている。アジア太平洋地域の取引時間帯でもセンチメントは引き続き悲観的で、金と原油の先物相場はリスクにさらされている。9月のミシガン大学消費者信頼感指数の速報値は、日本時間16日の午後11時に発表される。9月は前月の58.2から60に上昇すると見られている。予想を上回る内容となった場合、金と原油をさらに圧迫するリスクにつながる。
原油先物 テクニカル分析
15日のニューヨーク市場でWTI原油先物は前日比4.33%下落し、1週間以上ぶりの大幅下落となった。価格は20日単純移動平均線(SMA)を前に下落し、下落圧力が再び強まった。当面のサポートは、2021年10月の高値85.387となりそうだ。さらなる下降局面では、9月8日の安値81.207が視野に入ってくるだろう。



WTI原油先物 日足チャート

資料:TradingView
金先物 テクニカル分析
金先物相場は、1,681-1,696のサポートゾーンを割り込み、2021年以来の安値も更新した。これにより、フィボナッチ・エクステンション78.6%の水準1,651が視野に入ることになり、その後は100%の水準1,609が意識されるだろう。上昇に転じた場合は、20日SMAに注視されたい。これが上値抵抗線となり、再び下落する可能性がある。



金/米ドル(XAU/USD) 日足チャート

資料:TradingView
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
ドゥブロスキー氏に連絡するには、Twitter で @ddubrovskyFX までお願いいたします。
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