人民元、米ドル/人民元、中国CPIとPPI、中国人民銀行、FRB、テクニカル分析 – トーキングポイント



中国国家統計局が8月のインフレ指標を発表すると、人民元は弱含みの展開となり、広範な通貨に対し軟調に推移した。8月の中国消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.5%上昇と、市場予想(2.8%上昇)、7月(2.7%上昇)を共に下回った。一方、卸売物価の指標となる生産者物価指数(PPI)は前年同月比2.3%上昇と、市場予想(3.2%上昇)、7月(4.2%上昇)に比べ大きく落ち込んだ。
8月のCPIに特筆すべき重要な意味をもつ内容は見当たらなかったものの、PPIは2021年2月以来の低水準となった。全体として、2つの経済指標からは引き続き、経済減速の兆候がうかがえ、中国政府によるさらなる支援政策の可能性を残している。数週間前、中国当局は消えゆく経済成長と不動産市況の悪化に対処するため、1兆元相当の景気刺激策を追加した。
最近では、中国四川省の巨大都市である成都が、市内主要地域の大半で閉鎖期限を決めずにロックダウン(都市封鎖)措置を延長した。中国人民銀行(PBOC、中央銀行)は、現在も新型コロナウイルスの感染者がゼロにならない状況とロックダウンによる影響に対処するため、利下げで応戦している。高騰するインフレを抑制しようとする大多数の先進国の中央銀行とは、別のアプローチをとり続けている。
米連邦準備制度理事会(FRB)とPBOCの金融政策には違いが生じており、その乖離はますます拡大している。その結果、ファンダメンタルズ分析では米ドル/人民元の強気な見通しが強まっている。
ここ数日の間に、米ドル/人民元は一時、2020年7月以来の高値まで上昇した。FRBが10日から、今月22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合までブラックアウト期間に入るため、来週火曜の米消費者物価指数(CPI)の発表まで米ドル相場に大きな材料はなさそうだ。



中国CPIとPPIに対する人民元の反応

資料:TradingView
人民元 テクニカル分析
米ドル/人民元は、8月からの短期上昇トレンドラインを下回った推移で終値を付けようとしている。当面の下値サポートは、フィボナッチ・エクステンション3.6%の水準6.9396である。この水準を割り込むと、短期的に下降に転じる恐れがある。この場合、最終的には50日単純移動平均線が焦点となり、それを底値に再び上昇トレンドに転じる可能性がある。さらに上昇すると、フィボナッチ・エクステンションの中間点(50%)の6.9967が重要なレジスタンスとなり、その後は同61.8%の水準7.0223が意識されることになる。
米ドル/人民元 日足チャート

資料:Trading View
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
ドゥブロスキー氏に連絡するには、Twitter で @ddubrovskyFX までお願いいたします。
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