人民元、米ドル/人民元、中国人民銀行、中国工業利益、市場センチメント - トーキングポイント
- 米国株と米ドルの下落で、アジア太平洋地域の市場寄り付きは方向感に欠ける展開か
- 中国の銀行による米ドル売りで人民元が上昇する中、中国の工業利益に注目が集まる
- 米ドル/人民元は、移動平均線を試しつつ、心理的水準7に接近する可能性がある
アジア太平洋地域の市場見通し：2022年10月27日
27日のアジア太平洋地域の市場寄り付きは、方向感に欠ける展開となりそうだ。カナダ銀行（中央銀行）は26日、大方が予想した75ベーシスポイント（bp）ではなく、50bpの利上げを実施した。米連邦公開市場委員会（FOMC）での利上げ観測を後退させるような内容となったため、米ドルはほとんどの通貨に対して下落した。フェデラルファンド（FF）先物市場は、12月のFOMCで50bpの利上げ実施の可能性が最も高いと予想している。
26日の米国株式市場で、フェイスブックを運営する米メタ・プラットフォームズの2022年10－12月期決算はさえない内容となり、株価は時間外取引で15％超も急落した。通常取引時間帯ではアルファベットが約10％、マイクロソフトが約8％それぞれ下落した。ナスダック100指数は2.26％低下した。一方、米ドル指数は1％超安となり、9月以来の安値水準まで落ち込んだ。
26日のニューヨーク金・銀先物相場は、米債券が買われたことを背景に上昇した。英国政府が財政計画の発表を11月に延期したことは、今月初めの市場の大混乱を受け警戒していた投資家を安心させた。この延期の発表が好感されたのに加え、全般的にドル安となったこともプラスに働き、英ポンドは上昇した。ユーロは、欧州連合（EU）の天然ガス貯蔵庫が満杯に近い状態になったことから上昇した。
韓国の7－9月期国内総生産（GDP）成長率は27日朝（日本時間午前8時）に発表される。事前予想は前年同期比2.8％増と、4－6月期（同2.9%増）から伸び率は鈍化すると見られている。26日のニューヨーク外国為替市場で米ドル/ウォンは、 2 週間ぶりの低水準に下落した。27日は、日本の 対外証券投資の10 月 22 日までの週次統計、オーストラリアの第3四半期の輸出入物価指数、中国の9月工業利益が発表される。
人民元は米ドルに対して1.5％超上昇し、米ドル/人民元の1日の変動率としては過去最大を記録した。ロイターは、中国の主要国有銀行が25日夜、米ドル売りを実施したことを関係筋が明かしたと報じた。中国人民銀行（中央銀行）は26日、人民元売買の基準値を、予想よりも元高方向となる対米ドルで7.1638に設定したと発表した。中国の9月の海外からの直接投資は27日（日本時間午後4時）に発表される。26日の鉄鉱石価格は前日比約0.5％下落した。中国の9月工業利益が伸びれば、中国経済の動向に敏感な金属価格を下支えする可能性がある。
米ドル/人民元 日足チャートと1日変動率
人民元 テクニカル分析見通し
米ドル/人民元は、20日単純移動平均線（SMA）と26日指数平滑移動平均線（EMA）に向かって下落したことにより、強気の勢いが後退している。これらの移動平均線を割り込むと、下降は加速し、心理的水準である7が視野に入ってくるだろう。MACD（通称マックディー）ラインがMACDシグナルラインを下回り、弱気の売りシグナルとなっていることも下落圧力となっている。
米ドル/人民元 日足チャート
資料：TradingView
--- DailyFX.com アナリスト トーマス・ウェストウォーター著
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