人民元、USD/CNH、景気刺激策、英国、原油、テクニカル分析 - トーキングポイント
- リスクオンムードの流れに傾いたニューヨーク市場で、人民元が対ドルで上昇
- 中国がインフラ投資を加速させるとの報道を受け、鉄鉱石価格が上昇
- 米ドルは対人民元で、20日単純移動平均線を割り込んだ後、三角保合いのサポート付近で推移



8日(金)のアジア太平洋地域の相場見通し
アジア太平洋地域の相場は、S&P500種指数が1.49%高で取引を終えるなど、米国株式相場が3日続伸したのを受け、買い優勢で始まりそうである。 世界的な景気後退懸念は依然としてくすぶっているが、オーバーナイト・インデックス・スワップによると、市場では米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測が後退しており、来年初めには利上げが頭打ちになると示唆されている。しかし、6月の米雇用統計の非農業部門雇用者数が発表されるのを前に、週末に向かう中、トレーダーは慎重になっているかもしれない。ブルームバーグの調査によると、非農業部門雇用者数のアナリスト予想は26.8万人となっている。
リスクオンムードが強まる中、米ドルが軟調な展開になったことに支えられ、豪ドルは米ドルに対して上昇した。豪ドルにとって、もう一つの買い材料となりそうなのが鉄鉱石価格の上昇である。ブルームバーグが示した情報筋によると、中国は新たな景気刺激策を検討する可能性があるという。インフラ投資計画の資金調達のため、中国財務省は地方政府に対して年末まで特別債券の発行を許可するかもしれない。この措置には議会の承認が必要だろう。この報道を受け、人民元は対ドルで上昇した。



英国では、閣僚の離反が相次ぎ、ボリス・ジョンソン首相が辞任を表明した。後任については、トーリー党が9月までに新党首の選出を目指すとしている。辞任発表後は、不透明だったジョンソン氏の在任期間が明らかとなったため、英ポンドは対米ドル、対ユーロで上昇した。ユーロは英ポンドに対して、5月23日以来の低水準に下落した。
原油価格は、米国の備蓄が大幅に増加したにもかかわらず、反発した。エネルギー情報局(EIA)が発表した7月1日までの1週間の石油在庫統計で、原油が824万バレルの積み増しとなった。これは、アナリストが予想していた100万バレルの減少を大きく上回るものだった。中国発のニュースが原油価格の下支えになっているのかもしれない。全体として、アジア太平洋地域の株式相場と為替相場は上昇幅を拡大する可能性があるが、米雇用統計の発表を控え、投資家はまだ慎重な姿勢を維持する可能性がある。
7月8日の注目イベント
- 日本 - 銀行信金総貸出平残(6月)
- インドネシア - 消費者信頼感指数 (6月)
- 日本 – 景気ウォッチャー調査(6月)
本日の経済カレンダー全体はこちらからご覧ください
米ドル/人民元 テクニカル分析
示現したシンメトリカル・トライアングルの圏内で推移している米ドル/人民元は、三角形の頂点へ向かう中、短期的に方向性を失う可能性がある。先行する上昇トレンドから、市場はやや強気に傾いているように見えるが、下値サポート近辺まで下落している。このサポートを割り込むと、上昇局面にある100日単純移動平均線(SMA)が意識されそうである。最近の米ドル/人民元は、20日SMA付近で推移している。
米ドル/人民元 8時間足チャート

資料:TradingView
トレードに役立つメール配信サービス
DailyFXからタイムリーで国内外のマーケット情報を受け取ることができます。
--- DailyFX.com アナリスト トーマス・ウェストウォーター著
ウェストウォーター氏に連絡するには、下のコメント欄を使用するか、Twitter で@FxWestwater mまでお願いいたします。