※2023年4月7日8時42分更新。
CAD、JPY、USD、雇用統計、金融政策、原油-トーキングポイント



力強い雇用統計、利下げ織り込みは妥当か?
カナダ雇用統計が公表された。失業率は5.0%に低下、雇用者数は3万4,700人増加となった。フルタイム、パートタイム雇用者数ともに増加した。注目していた平均時給の伸び(前年比)は5.2%増と前回(5.4%)よりも低下したものの依然として高い伸びを示した。また、同じく発表されたIvey購買担当者景気指数(PMI)は58.2と高い伸びを示し、カナダ経済が堅調に推移していることを示唆した。
カナダ銀行(中央銀行)は主要中銀の中でいち早く利上げ停止に踏み切った中央銀行である。来週12日に金融政策決定会合を控えている。昨日公表の強い雇用統計やPMIの結果は、カナダの労働市場・景気は依然として強いことを示しており、金融市場に織り込まれている利下げの可能性は低いと考える。来週の会合で現在の利上げ停止スタンスに変化が見られるか注目したい。

資料:Trading Economicsより作成
カナダ経済指標(6日公表)

カナダのコアインフレ率は減速傾向にあるものの、2%インフレ目標を大幅に上回っている状況であり、強い労働市場・賃金の伸びはインフレ鈍化のペースが減速していく可能性があることを示唆している。また最近のOPECプラスの追加減産を受けた原油価格の上昇は産油国であるカナダの景気・インフレに上昇圧力となろう。来週の会合の結果、将来の利上げ再開が意識された場合、現在の利下げ予想が剥落、米ドルに対しカナダドル高要因となろう。

資料:Trading EconomicsよりDailyFX.comが作成
また、為替/FXの動向に強い影響を持つカナダの実質金利(見かけの金利(名目10年金利)から物価変動の影響(期待インフレ率)を差し引いた金利)は、米国や豪州といった主要国と同程度の魅力的な水準である。カナダ中銀が利上げ再開を示唆し、カナダの名目及び実質の金利が上昇した場合、一段と魅力的な金利水準となり、カナダドル高要因になることが見込まれるが、対円、対米ドルでのテクニカル分析を踏まえた見通しは?

資料:BloombergよりDailyFX.comが作成
カナダドル/日本円:カナダドル安円高
5,20,200日移動平均線は下向きであり、カナダドル安円高地合いを示している。また、強い売りシグナル(カナダドル安円高)である三役逆転が完成している。カナダ同様日本も金融市場では利下げが予想されており、今月の植田新日銀総裁による初会合を控えて日本の金融政策修正観測が高まり、円高要因になる可能性がある。また、米国景気後退懸念が一段と高まった際に安全資産通貨として円が買われる可能性もあるため、カナダドル安円高を予想。
カナダドル/日本円日足チャート

資料:Trading Viewより作成
米ドル/カナダドル:米ドル安カナダドル高
重要な水平サポートラインである1.36541を下方ブレイク(米ドル安カナダドル高が進展)しており、カナダドル高トレンドに弾みが付いている。RSI(相対力指数)は40、MACDラインは引き続き下向きかつ、シグナルラインを下回っており、カナダドル高(米ドル安)の地合いであることを示している。カナダの利下げ織り込みは剥落する余地があり、カナダドル高を見込む。1.3387に現在位置する200日移動平均線、そして今年の下値(カナダドル高)である1.32620が視野に入る。
米ドル/カナダドル日足チャート

資料:Trading Viewより作成
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--- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著