カナダドル、CAD、米ドル/カナダドル、カナダドル/日本円、カナダ銀行、金融政策―トーキングポイント



インフレ、そして金融政策決定会合へ
カナダにてインフレ率が公表(27日)。7月12日開催の金融政策決定会合前の重要なインフレ統計である。カナダ銀行(中央銀行)は主要中銀の中でいち早く利上げ停止に踏み切った中銀であるが、前回会合にて予想外の利上げに踏み切った。
力強い経済状況やインフレ加速などを受けた判断であった。更なる利上げについては示唆していないものの、金融市場では、7月ないし9月の金融政策決定会合での利上げが予想されている。年末にかけて、合計で2回弱の利上げが予想されている。前回会合で利上げに踏み切ったことから、今後の金融政策に対する不確実性が高まっている。金融政策の動向次第でカナダドルは大きく動きやすい地合いである。

資料:Bloomberg、OISデータよりDailyFX.comが作成
金融市場ではインフレの鈍化が見込まれているが、市場予想ほど鈍化を示さなかった場合、7月会合、及び年末までの利上げ織り込みが一段と進展し、カナダドル高要因となる可能性がある。

個人トレーダーセンチメント見通し:米ドル安カナダドル高
IG顧客センチメント(IGCS)によると、個人トレーダーの約74%がネットロング(米ドルロングカナダショート)である。ほとんどの持ち高はまだネットロングに傾いているため、米ドル安カナダドル高が進展する可能性を示唆している。また、昨日、先週から、ネットロングのトレーダー数は、それぞれ9.75%、8.28%上昇している。このことを考えると、米ドル安カナダドル高が進展する可能性がある。
IG顧客センチメント:USD/CAD




資料:IG顧客センチメント
米ドル/カナダドルのテクニカル分析:米ドル安カナダドル高
4月以降、1米ドル当たり1.32620~1.36541カナダドルでのレンジ相場が継続していたが、6月15日にレンジを下方ブレイク、米ドル安カナダドル高圧力の一段の高まりを示唆している。また、50日指数移動平均線が200日指数移動平均線を下抜ける「デッドクロス」が成立、カナダドル高圧力が一段と高まったことを示唆している。
カナダのインフレ率が市場予想を大幅に下回らない限り、現在の米ドル安カナダドル高トレンドの継続を見込む。2022年9月安値の1.29538へのCAD高進展が視野に入る。
USDCAD日足チャート

資料:Trading View
カナダドル/日本円のテクニカル分析:カナダドル高円安継続
日足チャートを確認すると、MACDラインが上向きかつ、シグナルラインを上回っており、カナダドル高円安トレンドの勢いは衰えていない。
USDCAD同様、カナダのインフレ率が市場予想を大幅に下回らない限り、カナダドル高円安トレンドの継続を見込む。2022年10月高値110.350円が視野に入る。
カナダドル/日本円日足チャート

資料:Trading View
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--- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著