バフェット、日本株、日経平均株価、ドル円、循環物色、個人投資家、陰の包み足―トーキングポイント
- バフェット氏の日本株買い増しは中長期的なサポート要因
- 日本株の循環物色が進展、日本株の一段高の可能性
- 海外・個人投資家は最近の急上昇を受け、日本株の反落に備えつつある?
- このような中、日経平均株価の見通しは?



バフェット氏、日本株に強気!?
米国著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる投資会社バークシャー・ハザウェイが、日本の大手商社株の保有比率を引き上げたことが明らかになった。現在は平均8.5%強の持ち株比率であり、合計の投資額は米国外の上場株式では最大規模のようだ。
バフェット氏は割安株の長期投資家として名を馳せている。同氏の日本株への強気スタンスは、日本株が長期投資の観点で割安・魅力的であることを示唆しており、中長期的な日本株のサポート要因になる可能性がある。
しかしながら、短期的には日本株に強弱入り混じるシグナルが出されている。詳しく見てみたい。
日本株の循環物色
日本株の「循環物色」の動きが強まっている。大型株中心であった上昇が小型株や新興株に上昇の裾野が広がっている。5月までは大型中心の日経平均株価は上昇していた一方、新興株中心のマザーズ指数は出遅れていた。6月に入り、マザーズ指数が出遅れ分を急速に取り戻している。幅広い銘柄で上昇が見られていることは、特定のセクター・銘柄ではなく、日本株全体の上昇圧力が増していることを示唆しており、日本株の一段高の可能性がある。

資料:BloombergよりDailyFX.comが作成。
日本株の売買動向
しかしながら、最近の日本株の急上昇を受け、海外投資家や個人投資家の動きに一部変化が見られる。年初来の日本株の上昇は海外投資家に牽引されてきた。週間売買状況を見ると、日本の現物株は依然として買い越し超であるものの、先物は売り越しに転じている。また、個人投資家も日本株の現物を再度売り越し超に転じている。
バフェット氏の買い増しが示唆しているように、日本株は中長期的に一段高の可能性があるものの、最近の急上昇を受け、利益確定の動き、また過熱感から短期的に調整の可能性が高まっている。加えて、ドル円の動きからも、「日本株見通し:日本株の逆襲はいつまで?」の通り、最近の日本株には過熱感が見られる。
日本株週間売買状況(左:海外投資家、右:個人投資家)

資料:BloombergよりDailyFX.comが作成。先物は日経225とTOPIXの先物・mini合計。
日経平均株価見通し
日経平均株価(先物)の日足チャートで、2008年から2021年にかけての値動きに基づいたフィボナッチエクステンション38.2%水準である33,743円突破を巡る攻防が続いている。中長期的には、日本の構造的変化等を背景として、日本株が一段と上昇することを見込む。しかしながら、テクニカル面では、20日指数移動平均線からの乖離率は3.8%に留まっている。一方、RSIは買われ過ぎを示唆する70を超過、かつ価格とRSIの間で「弱気の乖離(ダイバージェンス)」が示現し、上昇の勢いが衰えつつあることを示唆している。また、上昇トレンドの反転を示唆する「陰の包み足」が示現しており、当面中立の見通しとする。33,743円を明確に上抜け、再度上昇に勢いがある場合、強気に見通しを転換する可能性が高まる。
下値の目途として、9日指数移動平均線(現在33,002円)でサポートされるかに注目。明確に下方ブレイクした場合、上昇トレンドが終了した可能性が高まり、20日指数移動平均線(現在32,205円)をトライするシグナルとなろう。
一方、9日移動平均線でサポートされた場合、相場の地合いが強く、上昇トレンドに再突入する可能性がある。その場合、1990年3月高値34,588円が視野に入る。
日経平均株価先物日足チャート

資料:Trading View



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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著