英ポンド、英ポンド/ドル、英中銀 - トーキングポイント
- 英ポンドは、財政政策の変更によって急落を余儀なくされている
- 英中銀は、介入の思惑を一蹴したが、為替市場を注視している
- ドル高が日銀を介入に動かした。英中銀も同じ道を歩むのか?
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英国の財政政策と金融政策は足並みが揃わず、英ポンドは引き続き、下落圧力にさらされている。財政政策の変更は英ポンドを下支えるどころか、イングランド銀行(BOE、中央銀行)が臨時で発表した声明は、近い将来に何らかの介入を行うという市場の思惑を後退させ、むしろ足を引っ張っている。
英ポンドは、クワーテング英財務相が大規模な減税と規制改革を含む経済対策を発表した23日以降、下降線をたどっている。
クワーテング財務相は週末にさらなるコメントを発表し、この経済対策は負債で賄われることを改めて表明した。英国の対GDP比債務残高はすでに100%近くに上っている。経済協力開発機構(OECD)によると、英国はすでに世界で最も規制緩和が進んでいる国の一つである。
この減税の発表で市場が懸念しているのは、英国政府が大規模なリスクプレミアムの発生なしに債務を負うことができるかという点である。このプレミアムは、金利負担の増加や通貨価格の低下、またはその両方の形で現れるかもしれない。
この柔軟な財政支出は、高騰するインフレを抑制するためにBOEが取り組んでいる金融引き締め政策とは逆の方向に向かっている。また、この段階での財政支出の拡大は、パンデミックによって蓄積された債務を返済するのが一般的となっている他の先進国とは大きく異なっている。
26日に発表された声明でBOEのアンドリュー・ベイリー総裁は、金利の変更や為替介入に関する憶測を一蹴している。総裁らは「資産価格の急激な動きを考慮し、金融市場の動向を非常に注意深く見ている」と述べた。
これは、ドル/円が145円に近づいた際に日銀が使った表現に似ている。その1週間後、145円を上回った時点で、日銀は為替市場に物理的に円買い介入した。



先週金曜に向け、英国金利はすでに上昇していたが、英国政府やBOEの一連の動きでさらに上昇した格好だ。
金融・金利市場では、BOEの次回会合での150ベーシスポイント(bp)近い利上げ実施を織り込みつつある。ギルト債(英国債)の利回りは軒並み、先週の同時期に比べ約100bp近く上昇している。
もし英国政府が政策に固執するなら、英ポンド/ドルの前途は多難かもしれない。
英ポンド/ドル テクニカル分析
英ポンド/ドルは、1972年の変動相場制に移行して以来の最安値を記録した。これほど低い水準で取引されたことはなく、未知の領域である。
当然ながら、弱気のモメンタムシグナルは強く、さらなる下落の可能性もある。
弱気の三角移動平均(TMA)の形成には、相場が短期の単純移動平均線(SMA)を下回っている状態で、なおかつ短期SMAが中期SMAを、中期SMAが長期SMAをそれぞれ下回っている必要がある。また、すべてのSMAは負の勾配でなければならない。
英ポンド/ドルは、どのSMAの組み合わせにおいても、TMA形成における上記の基準に当てはまる。
レジスタンスは1.1405と1.1414のブレイクポイントとなる可能性がある。

資料:TradingView
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
マッカーシー氏に連絡するには、Twitter で @DanMcCathyFX までお願いいたします。