FRB、ECBに続き、英国中央銀行が金融政策決定会合を開催する。英中銀はインフレと景気の双方を睨みつつ、難しい金融政策のかじ取りを迫られている。このような中、GBPの対JPY、対USDでの見通しとは



サマリー
英国中央銀行の会合迫る
FOMC(米連邦公開市場委員会)と同時に、英国中央銀行の金融政策決定会合の結果が迫っている。21日20時(日本時間)に英中銀は結果を公表する。英国は、欧米と異なり、インフレ鈍化の兆しがみられず、FRB・ECBと異なり、21日の会合で利上げを実施、その後は利上げ継続と政策金利据え置きが意見がわかれている。

資料:BloombergよりDaily FXが作成
しかしながら、インフレ高止まりと同時に英国の景気減速懸念が強まっている。英国以外の主要中央銀行の利上げサイクルが終了する中、英中銀も景気減速懸念を背景に利上げ停止を示唆し、英ポンド安が進展する可能性がある。一方、主要中銀が利上げ停止をする中、利上げ継続を強く示唆した場合、英ポンド高が進展する可能性がある。
英中銀の会合結果次第で英ポンド安・英ポンド高どちらにも進展する可能性があるが、英ポンドの対ドル、対円での見通しとは。詳しくみてみたい。

資料:BloombergよりDaily FXが作成。購買担当者景気指数(PMI)は景気に先行する傾向のある指標。
英ポンド/米ドルの見通し
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 2% | -8% | -1% |
週次 | 9% | -9% | 3% |
英ポンド/米ドルは、5月から7月のGBPUSDの値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント78.6%水準1.282レベルを下方ブレイクし(GBP安米ドル高)し、英ポンド安圧力が強まっている。また、9日指数移動平均線が200日指数移動平均線を下抜ける、英ポンドに弱気の「デッドクロス」が示現しており、テクニカル面では英ポンド/米ドルの下落(GBP安米ドル高)を示唆している。
英中銀が、11月もしくは12月会合での追加利上げの可能性を強く示唆しなかった場合、金融市場では一定程度の利上げ織り込みが既に進展していることから、英国金利低下に伴い、英ポンド安が進展することを見込む。英ポンドトレンドが鮮明になっている中、5月25日安値1.231レベルをトライしよう。
一方、英中銀が追加利上げを強く示唆した場合、フィボナッチ78.6%水準1.282レベルがレジスタンス転換しているかに注目。レジスタンス転換していることが確認された場合、英ポンドの上値が重い(GBP安USD高圧力が強い)ことを投資家に印象付けよう。
英ポンド/米ドル(GBPUSD)日足チャート

資料:Trading Viewより作成
英ポンド/日本円の見通し
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 4% | -3% | -1% |
週次 | 11% | -15% | -8% |
英ポンド円は、7月5日高値184.012レベルがサポートとして機能していたものの、ついに下方ブレイクし、英ポンド円の下落(GBP安JPY高)圧力が強まっている。RSIも50を下回り、英ポンドのモメンタムが弱いことを示唆しており、テクニカル面では、英ポンド円の下落(GBP安JPY高)を示唆している。
英中銀が、追加利上げを強く示唆しなかった場合、GBPJPYは、水平レジスタンスである182.045レベルを下方ブレイクし、英ポンド安圧力が一段と強まることを見込む。その場合、心理的節目である180.00レベルをトライしよう。
一方、英中銀が追加利上げを強く示唆した場合でも、GBPJPYが184.012レベルを上方ブレイクできるかに注目。同レベルがレジスタンス転換していることが確認された場合、英ポンド円の上値は重いことを投資家に印象付け、英ポンド安円高が再度進展することを見込む。
英ポンド/日本円(GBPJPY)の日足チャート

資料:Trading View



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--- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著