英中銀が金融政策決定会合を開催。利上げ実施が見込まれるものの、その後の金融政策スタンスに注目。このような中、英ポンドの対円、対ドルでの見通しは?



サマリー
利上げ実施も難しい舵取り
英国中央銀行(BOE、中央銀行)が金融政策決定会合を3日に開催する。金融市場では0.25%の利上げを実施し、その後の利上げ継続が織り込まれている。直近のインフレ率が事前予想を上回る鈍化を示したことで、一時に比べ利上げ織り込みが剥落したものの、今回会合を含め、年内に合計0.9%の利上げが依然として予想されている。

資料:Bloomberg、OIS市場データよりDailyFXが作成。
急ピッチの利上げを受け、英国景気の減速感が強まっている。景気の先行指標である購買担当者景気指数では、好不況の分かれ目である50を製造業は下回っており、サービス業も鈍化傾向が鮮明である。また、先週のFOMC、ECB理事会を経て、FRB(米連邦準備制度理事会)、ECB(欧州中央銀行)の利上げ停止が近付く中、英中銀は難しい舵取りを迫られている。
既に利上げ織り込みが進展していることから、金融政策決定会合にて、今後の利上げ継続を示した場合、英ポンドに対する影響は限定的と見込む。一方、景気減速に配慮を示し、近い将来の利上げ停止を示唆した場合、利上げ織り込みが剥落し、英ポンド安が進展する可能性がある。

資料:BloombergよりDailyFXが作成。
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 7% | -12% | -7% |
週次 | 2% | -10% | -7% |
英ポンド/日本円の見通し
GBPJPYは、6月後半以降、レンジ相場が続いており、明確なトレンドを示していない。英中銀の会合で、近い将来の利上げ打ち止めを示唆した場合、レンジ相場のサポートライン179.46レベルを終値ベースで下方ブレイク、GBP安JPY高トレンドへ転換する可能性が高まる。その場合、3月から7月5日までのGBPJPYの値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント23.6%水準177.933レベルでサポートされるかに注目。サポートされなかった場合、38.2%水準174.172が視野に入る。
一方、英中銀が利上げ継続を示唆した場合は英ポンド高進展を見込むものの、184.012レベルで跳ね返され、レンジ相場継続を見込む。
英ポンド/日本円(GBPJPY)の日足チャート

資料:Trading View
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 4% | -3% | 2% |
週次 | 15% | -9% | 7% |
英ポンド/米ドルの見通し
英ポンド/米ドルは、3月以降、連続した高値・安値が切り上がっており、GBP高USD安トレンドであることを示している(ダウ理論)。一方、英中銀の利上げ織り込み剥落に伴い、7月14日以降英ポンド安が進展している。6月29日から7月13日のGBPUSDの値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント61.8%水準1.280レベルを下方ブレイク、短期的に英ポンド高の勢いが衰えており、テクニカル面では中立である。
英中銀が金融政策決定会合にて、景気に配慮し、利上げ織り込みが剥落する場合、フィボナッチ78.6%水準1.270レベルでサポートされるかに注目。下方ブレイクした場合、英ポンド安圧力が一段と高まり、6月29日安値1.259レベルが視野に入り、3月以降の連続した高値・安値の切り上がりが途絶え、英ポンド高米ドル安トレンドが終了する可能性が高まる。
一方、英中銀がインフレ抑制のために一段の利上げの必要性を強く示した場合、GBP高地合いが強いことを投資家に印象付け、38.2%水準1.293レベルをトライしよう。
英ポンド/米ドル(GBPUSD)日足チャート

資料:Trading Viewより作成



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--- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著