※2023年7月18日17時45分更新
英ポンドの値動き - 対ドル、ユーロ、円

英ポンドは、重要な英インフレ統計の発表を19日に控える中、最近の上昇を維持している。6月の英消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年同月比8.2%と、5月の8.7%からやや鈍化すると予想されている。コアインフレ率は前年同月比横ばいの7.1%上昇、前月比では5月の0.7%上昇から0.4%上昇に低下すると見られている。
英インフレ率は高止まりしており、英長期金利の上昇期待が高まっている。イングランド銀行(BOE、中央銀行)は引き締め姿勢を維持することでこれに応え、6月に予想以上の利上げを実施し、金利は2008年以来の高水準となっている。市場では、金利が現在の5%から6%を超える水準まで上昇するとの見方が広がっている。その結果、米商品先物取引委員会(CFTC)によると、投機的な英ポンドのネットロングポジションが2014年以来の高水準に達している。
しかし、積極的な引き締めは来年の経済見通しを悪化させて景気後退リスクを高め、買われ過ぎた英ポンドを軟化させるかもしれない。一方、最近の中国の景気刺激策は、世界第2位の経済大国である中国の経済成長に対する下振れリスクを緩和し、欧州景気の活性化につながる可能性がある。
英ポンド/ドル 日足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView、下記注意書き参照
英ポンド/ドル:上昇を維持
トレンドの観点からは、色分けされた日足ローソク足チャートが示すように、英ポンド/ドルのより広範なトレンドは上向きを維持している。日足より時間枠の長い中期的な観点から見ると、今月、5月に付けた1年ぶり高値まで再び上昇したことで、2022年後半からの高値と安値の切り上げパターンの継続が確認された。そのため、中期的に上昇する可能性も残されている(5月8日付記事「英中銀の金利発表控え、英ポンド堅調:英ポンド/ドルの上昇余地とは?」参照)。
英ポンド/ドル 週足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
先週の15カ月ぶり高値への上昇により、英ポンド/ドルは200週移動平均線の重要なレジスタンスを上回った。決定的なブレイクアウト(終値で2週連続の上抜け)となれば、さらなる上昇の可能性が開かれる。なぜなら、2022年後半から続くやや上向きのトレンドラインを上回ったことで、逆ヘッドアンドショルダー(左肩が2022年7月の安値、頭部が2022年9月の安値、右肩が2023年第1四半期の安値)が形成され、長期的には2021年の最高値1.4250を目指す動きが示唆されているからだ。
ユーロ/英ポンド 日足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
ユーロ/英ポンド:主要サポートを上回る水準を維持
ユーロ/英ポンドはここ数週間、昨年12月の安値0.8545に位置する主要サポート付近で下げ止まっており、小型のダブルボトム(6月安値と7月上旬の安値)が示現する可能性が出てきた。それでも価格は6月末の高値0.8635を下回る水準で推移しており、バイアスは下向きのままだ。とはいえ、0.8635を上方ブレイクすれば、0.8750へ向けて上昇する強気のパターンが展開され、当面の下落圧力が弱まったことが確認されるだろう。
英ポンド/円 月足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
英ポンド/円:2015年の最高値に向かって
英ポンド/円は、172.00付近の昨年10月の高値を上方ブレイクしたことで、今後数週間から数カ月で2015年の最高値196.00に向けて上昇する可能性が開かれた。しかし短期的には、英ポンド/円は少し買われ過ぎているように見える。従って、ある程度、もみ合いや小反落する可能性は否定できない。価格が89日移動平均線(現在173.10付近)を上回る水準を維持している間は、幅広い上昇圧力が弱まることはなさそうだ。
注:このチャートでは、青いローソク足は強気が優勢な局面、赤いローソク足は弱気が優勢な局面を示しています。黒いローソク足はもみ合い局面を表していますが、時にはトレンドの終焉を形成することもあります。
注:ローソクの色は予測ではなく、単にその時のトレンドを示しています。実際、ローソクの色は次のローソクの際に変化することがあります。200期間移動平均線付近やサポート/レジスタンス付近、もみ合い/不安定な値動きの際は、本来のトレンドとは異なる、騙しのパターンが発生する可能性もあります。筆者は情報の正確さを保証しかねます。また、過去のパフォーマンスは将来のパフォーマンスを示唆するものではありません。本情報のご利用は、自己責任にてお願いします。
--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著
ジャラディ氏に連絡するには、Twitterで @JaradiManish までお願いいたします。