日本株、日経平均株価、日銀短観、植田日銀総裁、日本銀行、物価見通し―トーキングポイント
- 日銀短観は企業の堅調な業績見通しを示した
- 一方、物価の見通しは慎重
- 6月末のリバランス売りを通過した日経平均株価の見通しは?



日銀短観は日本株のサポート材料
四半期に一度の日銀短観が発表された。大企業・製造業及び非製造業の業況判断指数は前回より改善、市場予想を上回る結果であった。また、大企業の設備投資計画(2023年度)も前回より加速している。今回の日銀短観の結果は日本企業の一段の業績改善、旺盛な設備投資意欲を示しており、日本株にとってプラス材料であろう。

企業の物価見通しは日銀の金融緩和維持をサポートする結果であった。物価全般の見通しは1、3、5年後全て前回3月調査時より見通しを低下(もしくは横ばい)した。前回より企業は物価見通しに対して慎重になった。
日銀短観 企業の物価見通し(%、%ポイント)

資料:日銀短観(6月調査)より抜粋。
30日に公表された東京都区部のCPIからも、インフレ圧力が一段と高まっていることは示されず、金融緩和を続ける日本銀行を安心させる結果であった。今回の日銀短観の結果と合わせ、当面は日銀の金融緩和継続との思惑が日本株のサポート要因になろう。しかしながら、7月末の金融政策決定会合に向け、2%目標を大きく上ぶれる現状の物価動向を反映して、金融政策修正を巡る不確実性が高まり、金融市場の変動要因になる可能性があり注意が必要である。
日経平均株価のテクニカル分析―高値を再トライ
日経平均株価は下落していたものの、20日指数移動平均線(現在32,631円)でサポート(終値ベース)され、反転している。また、懸念材料の一つであった、6月末の年金基金等の機関投資家による日本株のリバランス売りを通過した(日本株が大きく上昇し投資家のポートフォリオにおける日本株の比率が上昇していた。リバランスとは、6月末の期末に向け、日本株の比率を元の水準に減らす(売却)動きのこと)。
日本株の一時の過熱感が解消している中、日経平均株価は、2008年から2021年にかけての値動きに基づいたフィボナッチエクステンション38.2%水準である33,743円をトライしよう。終値ベースで上抜けると、上昇圧力が一段と高まることを見込む。
一方、終値ベースで33,743円を上抜けることに失敗し、20日指数移動平均線を下方ブレイクした場合、上昇トレンドの反転を示唆するダブルトップパターンが形成され、4月からの日経平均株価の急上昇相場がひとまず終了した可能性が高まる。その場合、50日指数移動平均線(現在31,435円)への下落が視野に入る。
日経平均株価先物日足チャート

資料:Trading View



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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著