日本株、日経平均株価、企業物価、消費者物価、日本銀行、金融政策―トーキングポイント



企業物価は今後のインフレ鎮静化を示唆
日本で国内企業物価指数及び輸入物価指数が公表され、エネルギー価格の下落などを背景に前年比の伸びは、それぞれ+4.1%、▲11.3%に減速(低下)した。生産者物価の変動は、遅れて消費者物価に反映される傾向がある。植田日銀総裁が見込んでいるように、生産者物価や輸入物価の低下は、一段の消費者物価指数の低下に寄与する可能性がある。
消費者物価の鈍化が今後見込まれるものの、日本銀行が今月末(27-28日)に開催する金融政策決定会合は要注意である。植田日銀総裁は当面の金融緩和維持スタンスを示している一方、事前の情報共有の難しさから、7月会合にてサプライズ的に長短金利操作(イールドカーブコントロール、YCC政策)を修正する可能性がある。

資料:BloombergよりDailyFXが作成
日銀政策展望
日本銀行は1、4、7、10月にインフレ見通しを更新するが、7月のインフレ見通し更新タイミングは、インフレ見通しの変更に伴い政策変更が実施しやすい。また、年後半から来年頭にかけて、今までの利上げの影響等を背景に米国等では景気減速懸念が一段と高まろう。10月など、海外の景気減速懸念が高まっている段階で日本が金融政策修正を行った場合、大幅に円高が進行し、日本景気の腰折れリスクが高まる。そのため、海外景気が堅調に推移している現在のタイミングを逃すと、金融政策修正を行うタイミングが来年半ば以降にずれ込む可能性がある。
7月会合で金融政策の現状維持が大方の予想である一方、一部YCC政策の修正が見込まれている。現状維持が大方の予想であるからこそ、変更があった際の金融市場への影響は大きくなる可能性があり、注意が必要である。もっとも、日本銀行がYCC政策の修正を実施した場合も、その後は海外景気の減速懸念から、来年半ばにかけて日銀は金融政策を維持、円高や株安が進行した場合も影響は短期的な影響にとどまると見込んでいる。
7月末の日銀会合が近付くにつれ、金融政策を巡る不確実性が日本株の変動要因になるものの、最近の下落を受け4月以来の急上昇トレンドが終了、弱気のシグナルが点灯している。詳しく見てみたい。
日本株見通し
日経平均株価(先物)は32,000円を下方ブレイクし、日足チャートで、弱気の乖離(ダイバージェンス)が示現している。MACDラインは下向きかつ、シグナルラインを下回っており、下落の勢いは衰えておらず、テクニカル面では弱気のシグナルが点灯している。
日経平均株価(先物)は、50日指数移動平均線(現在:31,719円)をトライしている。下抜けると、4月以来の日本株急上昇トレンドが終了、31,000円が視野に入る。
一方、再度上昇トレンドに転じるためには、心理的節目でありレジスタンス転換している可能性がある33,000円の上方ブレイクが必要と見込む。上方ブレイクした場合、日経平均株価は、2008年から2021年にかけての値動きに基づいたフィボナッチエクステンション38.2%水準である33,743円を再度トライしよう。
日経平均株価先物日足チャート

資料:Trading View



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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著