※2023年6月15日15時26分更新
豪ドル、豪ドル/米ドル、米ドル、豪失業率、豪中銀、中国、FRB - トーキングポイント
- 豪ドルは、強い雇用統計で序盤の下落分を取り戻した
- 豪中銀の理事会は、豪経済が引き続き好調であることを言外に含ませている
- FRBと中国景気も豪ドル/米ドルに影響を及ぼしている



15日のアジア市場でオーストラリアドルは、序盤の下落分を取り戻し、堅調に推移している。きょう午前発表のオーストラリアの雇用統計は失業率が低下するなど強い内容となり、豪ドルが買われた。豪労働市場が引き続き、ひっ迫していていることが明らかになり、物価上昇圧力が再び高まるとの見方が強まっている。オーストリア準備銀行(RBA、中央銀行)が7月の理事会でどのように舵を取るかが注目されそうだ。
5月の豪失業率は3.6%で、予想および前月(共に3.7%)よりも低い数値だった。雇用者数は前月比7万5,900人増加し、予想(同1万7,500人増)および前月(同4,300人減)を大幅に上回った。
注目すべきは、フルタイム雇用数が6万1,700人増加したことと、労働参加率が66.7%から66.9%に上昇したことである。
RBAは今月初め、政策金利であるオフィシャルキャッシュレートを25ベーシスポイント(bp)引き上げ、4.10%とした。豪雇用統計がきょう発表される前は、オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場は、RBAが7月の理事会で利上げに動く確率を約20%と見ていた。現在では、25bpの引き上げ実施の可能性は40%強に上がっている。



しかし、豪ドルにとって好材料となった堅調な国内経済指標は、中国の弱い経済指標によってある程度相殺された。中国国家統計局が15日発表した5月の鉱工業生産は前年同月比3.5%増と予想と一致したものの、1-5月の鉱工業生産は3.6%増加し、予想(3.9%)を下回った。
中国の小売売上高上昇率は前年同月比12.7%で、予想(13.7%)、前月(18.4%)に共に届かなかった。1-5月の固定資産投資の伸びは前年同期比4.0%で、予想(4.4%)より伸びが鈍化した。5月の都市部調査ベース失業率は、予想通り5.2%にとどまった。
中国人民銀行(PBOC、中央銀行)は13日、7日物リバースレポ金利を2%から1.9%へと予想外に引き下げ、相場をわずかながら押し上げた。そしてきょう15日は、1年物中期貸出制度金利を2.75%から2.65%に引き下げた。
世界第2位の経済大国の景気鈍化の傾向は、中国政府によるさらなる景気刺激策への思惑につながっている。
米連邦公開市場委員会(FOMC)が14日に利上げを見送り、その後の声明および記者会見ではハト派的な姿勢が示されたとの解釈も、豪ドル/米ドルには好材料となった。
今後、豪ドルの値動きに影響を与える可能性のある要因は、RBAの金融政策決定、FRB当局者による追加利上げに関する発言、中国の政策に目立つ修正があった場合の中国経済見通しだろう。
豪雇用統計、FRBの政策決定、中国経済指標に対する豪ドル/米ドルの反応
資料:TradingView
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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