※2023年8月31日16時47分更新
豪ドル vs 米ドル、中国PMI - トーキングポイント



きょう31日アジア時間の外国為替市場で豪ドルは、中国の製造業活動が回復するとの期待感から上昇する場面があった。中国国家統計局が31日発表した8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.7と、予想(49.4)、7月(49.3)をわずかに上回った。非製造業PMIは51.0(予想51.1、7月51.5)に鈍化した。製造業は依然として景況拡大・悪化の分かれ目となる50を下回っているが、予想以上の改善は最近の景気刺激策が経済に波及していることを示す安心感につながった。
きょう発表のPMIは、「思ったほど悪くない」という結果に終わった最近の中国のマクロ経済指標と同じ傾向にあったが、エコノミックサプライズ指数を見ると、それでもまだ不十分だと言える。中国のエコノミックサプライズ指数は最近わずかに回復しているが、2020年半ばの低水準(新型コロナウイルス感染症拡大時の水準)からそれほど離れていない。結果、アナリストは今年の中国の成長率予測を下方修正している。中国はオーストラリアにとって最大の輸出相手国であり、世界第2位の経済大国の景気動向はオーストラリア経済に影響を与える傾向にある。
豪ドル/米ドル 5分足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
中国の政策当局者は、パンデミック後の回復の遅れを取り戻し、苦境にあえぐ不動産セクターを復活させるため、ここ数カ月、的を絞った景気刺激策を相次いで打ち出している。しかし、大規模な景気刺激策は(経済における不均衡をもたらすリスクを考慮して)見送られたようで、より広範なリスク心理が当面、豪ドル相場をけん引しそうだ。
豪ドル/米ドル 週足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
最近の経済指標が軟調で米経済の回復が示唆されず、米利回りは低下し、全般的に米ドルの重しとなっているため、リスク選好ムードは今のところ後退している。リスク心理の安定により、豪インフレ率が緩やかに減速していることが陰に隠れているようだ。インフレ率が鈍化傾向にあることから、オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)が追加利上げを実施する必要性は低下している。8月30日付記事「豪ドル見通し:豪CPI下振れが語る対円・米ドルでの方向性とは?」をご参照ください。
豪ドル/米ドル 4時間足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
豪ドル/米ドル:動き始めた相場
テクニカルチャートでは、豪ドル/米ドルは先週の高値0.6500付近という重要な天井の上抜けを試みている。このブレイクアウトが決定的なものになれば、4時間足チャート上の200期間移動平均線(現在0.6600付近)へ向かって上昇する可能性が出てくる。
豪ドル/米ドルの下落圧力は最近、和らいでおり、その可能性については前回、前々回の記事でも指摘した。8月28日付記事「米ドル見通し:レジスタンス試す展開、パウエル議長講演を受けて」、8月29日付記事「豪ドル見通し:豪CPI控える中、反発に期待感」をご参照ください。
--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著
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