※2023年3月29日15時12分更新
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28日のニューヨーク外国為替市場でオーストラリアドルは、リスク志向の回復により上昇した。しかし、きょう29日朝発表された2月の豪消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことを受け、豪ドルは軟化した。現在、市場の関心は、来週の理事会で決定されるオーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)の金融政策に移っている。
ニューヨーク市場の終盤にかけてコモディティ相場が底堅く推移した中、豪ドルやニュージーランドドル、その他のベータ値の高い通貨も下支えされた。ウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油先物は今週に入ってから6%超上昇している。
5月上旬に開催される次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに動くかどうかに注目が集まる中、28日の米国株はわずかに下げた。
銀行危機はひとまず免れたように見え、投資家が恐れていた銀行問題の飛び火は食い止められている。FRBのマイケル・バー副議長(銀行監督担当)は28日、上院銀行委員会で証言し、シリコンバレー銀行(SVB)の破綻の責任は経営陣にあるとの認識を示した。
SVBは顧客の預金を使って償還期限が数年の米国債を購入していた。デュレーションミスマッチあるいは資産負債のミスマッチと呼ばれるもので、つまり、満期まで0日の現金預金(負債)が、年限の長い債券(資産)のヘッジとして利用されていた。
これらの債券(資産)の価値は、2022年に利回りが急上昇したことにより、著しく低下した。預金者に対する債務(負債)に変化はなかった。
市場心理をさほど悪化させなかったのは、SVBの問題は表面上、同銀行固有のもので、システミックリスクにはつながらないとの見方が強まったためである。
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いずれにせよ、28日はオーストラリア統計局(ABS)が翌朝発表する2月のCPIを控え、豪ドル/米ドルは67セント付近でもみ合う展開となった。
月次でのCPI公表は昨年9月に開始され、四半期ごとの発表の間に2回公開される。月次の数値は、四半期の加重平均値の62-73%をカバーしている。
RBAはインフレ目標を2-3%としており、四半期CPIはそのための指標とされている。
きょう29日に発表された2月の豪CPIは前年同月比6.8%上昇と、予想(同7.2%上昇)を下回った。物価上昇率が鈍化したことを受け、豪ドルは下落した。
しかし、残念ながら、この月次の数値は、四半期CPIがどの程度になるかを正確に示すわけではない。
数値の比較として有効と思われる前年同月比較で見ると、2月のCPIは前年同月比6.8%上昇で、1月(同7.4%上昇)と比較すると、0.6%の格差が見られた。
RBAは4月の理事会で、昨年5月以来11カ月ぶりに利上げを停止する可能性があると見られている。金利市場では追加利上げは織り込まれておらず、年末までに25ベーシスポイント(bp )の利下げが実施されると予想されている。
2023年1-3月期の豪CPIは4月末に発表予定である。5月にRBAの理事会を控え、インフレ水準を示す手がかりとして注視されるだろう。
米国債利回りは銀行問題の影響で低下したが、その後は安定している。オーストラリア国債利回りもこれに追随し、米国債とともに低下した。
長期金利の指標である10年債利回りを豪米で比べると25bp近くの格差があり、3年債の利回り格差は95bp程度となっている。特に短期債の利回り格差が大きく、RBAとFRBの温度差が浮き彫りになっている。
豪ドル/米ドル、3年・10年債の豪米利回り格差
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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