※2023年5月1日15時29分更新
豪ドル見通し:中立
- 豪ドルは先週、レンジの下限に向かって下落した
- リスク志向が混在する中、市場のセンチメントは方向感に欠けているように見える
- 市場は豪中銀とFRBの金融政策決定待ち。予想外の決定なら、豪ドル/米ドルに影響を与える可能性がある



先週のオーストラリアドルは、豪消費者物価指数(CPI)の伸びが鈍化し、マクロ経済見通しに不透明感が漂う中、下落した。今週は、オーストリア準備銀行(RBA、中央銀行)と米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策決定会合の開催が予定されており、豪ドル/米ドルの方向性を決めるうえで極めて重要な意味を持つ可能性がある。
今年1-3月期の豪CPI総合指数は前年同期比7.0%上昇と、予想(同6.9%上昇)は上回ったものの、前期(同7.8%上昇)からは大きく減速した。RBAが重視するトリム平均CPIは同6.6%上昇と、予想(同6.7%上昇)、前期(同6.9%上昇)をともに下回った。
ただ、物価上昇圧力は、減速はしているものの、依然として高水準であり、RBAの物価目標である2-3%を大きく上回っている。
RBAが4月に開催した理事会の議事要旨から受ける印象は、5月に再び利上げが実施される可能性があるというものだ。市場では2日の理事会で金融政策は据え置かれると見られているが、もしRBAが利上げに動けば、短期的に豪ドルを下支えする可能性がある。
3日には米連邦公開市場委員会(FOMC)会合が開催されるが、25ベーシスポイントの引き上げというのが大方の予想である。
いずれかの中央銀行の決定が市場予測から外れた場合、豪ドル/米ドルのボラティリティが上昇すると考えるのは妥当な推測だろう。
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一方、先週はダウ工業株30種平均、S&P 500種株価指数、ナスダック指数は上昇したが、豪ラッセル2000指数と豪ASX 200指数は下落という結果になり、市場センチメントはやや方向感に欠けていた。
ファーストリパブリックを巡る懸念は依然としてくすぶっており、市場では米連邦預金保険公社(FDIC)が窮地に陥ったファーストリパブリックの救済に乗り出す可能性が取り沙汰されるなど、解決に向かう気配はない。
中国の景気回復は引き続き疑問視されており、これが先週、シンガポール取引所で鉄鉱石先物が10%超急落した要因となっている。一方、銅先物と金先物は堅調に推移している。
今後はRBAとFRBが決定する金融政策が焦点となり、両国の金利格差に影響を与えるような予想外の結果となれば、豪ドル/米ドルに注目すべき動きが出るかもしれない。イールドカーブがスティープ化した場合は特に影響を与えそうだ。
豪ドル/米ドル、金、銅、鉄鉱石、ドル指数
資料:TradingView
豪ドル/米ドルのテクニカル分析
豪ドル/米ドルは、0.6565-0.6806の2カ月続くレンジ内で推移しているが、現在、価格は短・中・長期の日足単純移動平均線(SMA)を全て下回っており、弱気の勢いが台頭している可能性を示唆している。
0.6780-0.6810のエリアには、以前の高値が多く存在するのと100日および260日SMAがあり、潜在的なレジスタンスゾーンとなっている。
下降局面では、過去の安値0.6565または0.6547のブレイクポイントがサポートとなる可能性がある。
資料:TradingView
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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