※2023年5月8日11時21分更新
豪ドル見通し: 強気



先週のオーストラリアドル相場は米ドル安を背景に堅調に推移した。米ドルは、米経済指標が好調で米国債利回りが上昇したにもかかわらず、下落した。
オーストリア準備銀行(RBA、中央銀行)は先週2日、政策金利であるオフィシャルキャッシュレートを25ベーシスポイント(bp)引き上げ3.85%とした。今年1-3月期の豪消費者物価指数(CPI)は前年同期比7%上昇となり、RBAの物価目標である2-3%を大きく上回っていた。
これに負けじとばかり、米連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)も数日のうちに25bpの引き上げを実施した。
ジェローム・パウエルFRB議長のメッセージは明確だった。今後の金融政策は、会合ごとに米経済指標次第で決定されるもので、経済動向を継続的に精査していく必要があるとした。
金利先物・スワップ市場は、やや強引な解釈をして、FRBが7-9月期に利下げに転じると織り込んでいる。
パンデミックから脱却する際、FRBの政策は後手に回り、金利先物・スワップ市場は利上げサイクルを正確に予想した。そのような経緯が、今回の予測を支えているのかもしれない。FRBは金利を動かすのが遅すぎたことで風評被害を受け、市場はFRBを相手にすることに自信を持つようになった面がある。
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RBAの金利決定後、豪ドル市場ではマクロ経済に関する懸念材料がくすぶっている。基本的に、中国景気はまだ回復途中であり、米国は景気後退が差し迫っているとの見方がある。
オーストラリアの3月の貿易黒字は152億7,000万豪ドルと、過去2番目に多い黒字額となった。シンガポールと大連の両取引所で取引されている鉄は下落しているが、大手鉱山会社は長期契約を結んでいるケースがほとんどなため、オーストラリアの主要輸出品に大きな影響を与えることはないだろう。
豪ドルは週末にかけて大きく上昇する場面があったものの、過去2カ月のレンジである0.6565-0.6806にとどまっているように見える。
目先は、注目すべき経済指標の発表はほとんどなく、リスクなどに対するセンチメントが相場を動かす原動力となり得る。債券利回りがセンチメントを反映し、2年債利回りの動向が豪ドル/米ドルの方向性を示す手がかりになるかもしれない。
豪ドル/米ドル 、豪米3年債利回りスプレッド
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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