※2023年6月19日11時38分更新
豪ドル見通し: 中立



先週のオーストラリアドルは、米ドルが大きく下げたことを受け、レジスタンスの天井を突破し、4カ月ぶりの高値を付けた。6月に入ってから、豪ドル/米ドルは17取引日のうち15取引日に上昇している。
米連邦準備制度理事会(FRB)は先週水曜開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で金利を据え置いた。その影響で米国債利回りが低下し、米ドルの軟化につながった。
同様に、日銀も大規模緩和政策に据え置いたが、欧州中央銀行(ECB)は金利を引き上げ、中国人民銀行(PBOC、中央銀行)は利下げに動いた。
しかし、結局のところ、先週の相場を動かしたのは、市場全体における米ドルの動きであり、豪ドルはその影響を大きく受けた。
金、銅、鉄鉱石、小麦などコモディティ市場全体が恩恵を受けことも、豪ドルを押し上げた要因となった。
チャート - 豪ドル/米ドル、金、銅、鉄鉱石、小麦、ドル指数
資料:TradingView
また、先週発表された豪の国内経済指標は強い内容だったため、2週間後に予定されているオーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)の理事会で追加利上げが実施されるとの見方に一段と傾いた。
オーストラリア連邦統計局が先週発表した5月の失業率は3.6%で、予想および前月の3.7%より改善された。雇用者数は7万5,900人増加し、予想(1万7,500人増)、前月(4,300人減)を大幅に上回った。
注目すべきは、フルタイム雇用者数が6万1,700人増加したことと、労働参加率が66.7%から66.9%に上昇したことで、豪労働市場の堅調さを示している。
豪雇用統計の発表前、先物市場はRBAが7月の理事会で政策金利を引き上げる確率を20%程度と見込んでいたが、現在では、25ベーシスポイントの引き上げの確率は50%強に上がっている。
豪3-10年債の利回りは、世界金融危機以来、初めて逆転した。イールドカーブのフラット化または逆転は、景気減速が差し迫っている前兆とみなされることがある。
このような現象が発生した場合、債券市場は将来的な景気拡大について自信を失っていることを意味し、短期的には金利は上昇しても、将来的には金利を引き下げる必要があると見ている。
目先では、今週はオーストラリアの経済指標の発表はほとんどないが、米国では経済指標の発表のほか、FRB議長証言や複数のFRB当局者の講演が予定されており、FRBの利上げの方向性が示されるかもしれない。
また、中国政府はさらなる景気刺激策を検討しているとの声が聞かれており、豪ドルのボラティリティを高める可能性がある。
豪ドル/米ドルのテクニカル分析
豪ドル/米ドルは上昇トレンドラインをきれいに上抜けた後、短・中・長期の日足単純移動平均線(SMA)のすべてを上回って推移しており、強気のモメンタムが定着している。
その後、価格は一連のレジスタンス水準を上抜けた。これらの水準は現在、0.6780-0.6820付近のサポートゾーンとなりそうである。さらに下降すると、0.6784、06574、0.6565のブレイクポイントや、過去の安値0.6458がサポートとなる可能性がある。
上値では、過去の高値0.6920、0.7011、0.7030がレジスタンスとして機能しそうだ。
資料:TradingView
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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