※2023年6月6日16時57分更新
豪ドル/米ドル、豪ドル、豪中銀 - 値動き
- 豪中銀による25ベーシスポイントの引き上げは予想外
- 豪中銀はさらなる引き締めの可能性を示唆し、豪ドルは急騰
- 豪ドル/米ドルの次なる展開とは?



オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)が政策金利であるオフィシャルキャッシュレートを予想に反して25ベーシスポイント(bp)引き上げ、インフレ率を目標水準に戻すためにさらなる引き締めが必要かもしれないと述べたことから、豪ドルは急伸した。
RBAは政策金利を3.85%に据え置くというのが大方の予想だったが、先週、豪最低賃金が引き上げられたことにより、予断を許さない状況となっていた。市場では、きょう6日の理事会で25bpの利上げを実施する確率は30%で、基準金利は9月までに4.18%に達すると見られていた。本記事執筆時点で、政策金利のターミナルレート(最終到達点)の市場予想は4.26%となっている。
豪ドル/米ドル 5分足チャート
資料:TradingView
RBAは、インフレ上昇リスクが高まっており、理事会はそれに対応したと述べた。さらに金利を引き上げるのは、インフレ率が合理的な時間枠で目標水準に戻ることをより確実にするためだとし、タカ派的な姿勢を維持した。
4月に利上げを見送ったRBAは先月、利上げに踏み切り、物価上昇圧力を抑制するためタカ派的なトーンを維持して市場を驚かせた。オーストラリアのインフレ率は目標を大きく上回っており、最低賃金の引き上げにより物価目標の達成はさらに遅延する可能性が出てきたため、金利の引き上げは必要と判断したようだ。
コモディティ価格の推移と米景気後退予想;オーストラリアのインフレ率
資料:ブルームバーグ、エクセルで作成
インフレ率がRBAの目標範囲である2-3%の上限に戻るのは2025年半ばと予測されている。4月の豪インフレ率上昇率は前年同月比6.8%となり、2023年1-3月期の上昇率は7.0%とピーク時の7.9%から伸びはやや鈍化した。さらに、失業率は50年来の低水準で推移するなど、豪雇用市場は引き続きひっ迫しているが、労働市場に緩やかな減速の兆しも見られる。
豪ドル/米ドル 日足チャート
資料:TradingView
「タカ派的な引き締め」に反応し、オーストラリアドル/米ドルは急伸した。米下院が連邦債務上限の適用を一時的に停止する法案を可決したことや、中国が不動産市場支援パッケージを検討しているとの報道を受け、豪ドルはここ数日、上昇している。
テクニカルチャートで豪ドル/米ドルは、当面のレジスタンスだった3月の安値0.6560を上回り、下落分をなんとか一部取り戻した。しかし、5日に筆者が指摘したように、豪ドル/米ドルは0.6805の重要なレジスタンスを上方ブレイクしない限り、横ばいから下向きの値動きにとどまる可能性が高い。一方、上昇局面では、0.6805を上抜ければ、2月の高値0.7160に向かって上昇する可能性が開ける。



--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著
ジャラディ氏に連絡するには、Twitterで @JaradiManish までお願いいたします。