豪ドル、豪ドル/米ドル、議長発言、市場心理、テクニカル分析見通し – トーキングポイント
- パウエルFRB議長が利上げ継続を改めて強調し、米国株は下落
- 7月のPCE物価指数は予想より伸びなかったが、タカ派的な姿勢を制するには至らず
- 先週金曜26日に上昇の大部分が帳消しとなった豪ドル/米ドルの見通しは弱気に傾いている
29日(月)のアジア太平洋地域の市場見通し
29日のアジア太平洋地域の市場で、先週金曜に講演したジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言を消化する動きが続く中、リスク動向に敏感な豪ドルは米ドルに対し、下落する可能性がある。パウエル議長は、利上げを継続する可能性が高いと断言し、オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)やフェデラルファンド(FF)金利先物は、より積極的な引き締めを示唆する動きとなった。26日の米国株は極めてネガティブな反応を示し、主要株価指数は大きく下落した。
アジア太平洋地域では29日の取引で、パウエル議長のタカ派的な姿勢が重しとなりそうである。アジア株式先物は現物株が下落で始まることを示唆し、米ドルは先週の上昇の流れを引き継ぎ、上げ幅を拡大している。26日のニューヨーク外国為替市場の取引時間中にリスクオフ(リスク回避)の動きが広がり、豪ドルは米ドルに対して下落し、週初めの上昇分の大部分は帳消しとなった。銅と鉄鉱石価格の上昇にも下支えされ、豪ドル/米ドル相場はそれまでは好調に推移していた。
先週、中国政府が発表した一連の新しい経済刺激策がアジア太平洋地域の市場心理を明るくし、金属価格は全般的に上昇した。今日29日は、市場心理に影響を与える可能性があるオーストラリアの7月小売売上高の速報値が発表される。アナリスト予想では、前月比0.3%増と、6月の同0.2%増から上げ幅を拡大すると見込まれている。予想を上回れば、豪ドルにとって好材料となるだろう。
中国国家統計局(NBS)が発表した中国の7月の粗鋼生産は前年同月比で減少した。今週後半にはNBSが中国の製造業購買担当者指数(PMI)を発表する。 粗鋼生産の減少は、新型コロナウイルス感染症拡大に関連した混乱に起因する工場閉鎖によるものと思われる。中国では最近、工業向け電力の供給制限措置により、工場の操業停止を余儀なくされている製造業者が少なくなく、8月も製造業の生産活動は抑制された状態が続きそうである。
豪ドル/米ドル テクニカル分析見通し
豪ドル/米ドル相場は先週、上昇の大部分を失い、週ベースでの上昇率はわずか0.25%程度にとどまったことから、8月は月ベースで下振れしそうである。先週金曜の動きにより、価格は50日単純移動平均線(SMA)を下回り、テクニカル指標面では弱気への傾きが示唆されている。オシレーター系テクニカル指標であるMACD(マックディー)とRSI(相対力指数)は、それぞれの中間点を下回って推移している。
豪ドル/米ドル 日足チャート

資料:TradingView
--- DailyFX.com アナリスト トーマス・ウェストウォーター著
ウェストウォーター氏に連絡するには、Twitter で @FxWestwater までお願いいたします。