


豪ドル/円は6月上旬に96.88で7年ぶりの高値をつけた後、92.00弱まで押し戻され、再びレンジ内に収まった。米ドル/円は最近24年ぶりの高値を記録するなど、全般的に円安が進んでいる。
日本銀行(BOJ)の金融政策は、中国人民銀行(PBOC)を除く他の世界の中央銀行とは逆の方向に進んでいる。日銀は最近、イールドカーブ・コントロール・政策(YCC)の延長を約束し、発行済み日本国債(JGB)の50%近くを保有するに至っている。
一方、オーストラリア準備銀行は最近、マーケットの事前予想よりも積極的な金融引き締めの方針を打ち出している。5月と6月の会合でマーケットの予想を上回る利上げをおこなったが、これが再び起こらないということはほぼないだろう。
オーストラリアの第2四半期消費者物価指数(CPI)は、7月27日に発表される。オーストラリア準備銀行が利上げに踏み切ったのは、第1四半期のCPIが前年同期比5.1%であったことがきっかけ。第1四半期のCPIは前期比2.1%だった。2021年第2四半期のCPIは0.8%であり、今回はこれが年率の数字を下げることになる。
第2四半期のエネルギー・農産物マーケットを観察すると、0.8%より大きな数値になりそうな気配である。これらの商品の先物価格の高騰は、3月末のロシアのウクライナへの侵攻により起こった。
実体経済への波及効果は、あの劇的な物価上昇の後、1ヶ月ほど経ってから感じられるようになった。確かに、オーストラリアに住んでいる人は、第2四半期を通じて、スーパーマーケットやガソリンスタンドでショックを受けただろう。
この期間は、オーストラリア統計局(ABS)が消費者物価の変動を測定する期間である。7月の消費者物価指数の数値はオーストラリア準備銀行が望むよりもはるかに大きくなる可能性があることを、マーケットは十分に認識していない可能性がある。
オーストラリア準備銀行のフィリップ・ロウ総裁は、正当とされれば断固とした行動を取る用意があることを明らかにした。5月、6月、7月に続く8月の大幅な利上げは否定できない。
オーストラリアのファンダメンタルズ要因は、低失業率、堅調な成長、良好な国際貿易、公共・私企業ともに比較的穏やかな水準の債務など、依然として強固なものである。金融政策が主導権を握っているように見えるため、マーケットは今のところこの点に注目していない。米連邦準備制度理事会(FRB)の積極的なタカ派スタンスにより、米ドルは上昇し、豪ドル/米ドルはその渦中で叩かれている。
一方、豪ドル/円は、そろそろ有利な追い風が吹いてくる可能性がある。
豪ドル/日本円チャート

出所:TradingView