ドル円 (USDJPY) の分析記事
【サマリー】
- ドル円のトレンド決定要因は米金利で変わらず 日米株式の影響は見られず
- プロジェクション100.0%をブレイク したドル円 次に注目すべきレジスタンスポイントは?
- 米金利の低下局面ではドル円の反落を想定 しかし下落幅は限定的と予想



・ドル円のトレンド決定要因は米金利 日米株式の影響は限定的
ドル円(USDJPY)は、フィボナッチ・プロジェクション100.0%の水準138.30レベルをブレイクする局面が見られた。
今日の東京時間は、米金利の低下(調整の米債買い)で上値の重い状況となっているが、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が、1970年代から80年代にかけてのインフレとの闘いを引き合いに出してまでインフレ抑制重視のスタンスを表明したことを考えるならば、米金利の上昇トレンドが続く可能性があろう。
よって、ドル円も上昇トレンドの維持を想定しておきたい。
では、株式市場の動きは気にしなくて良いのか?
現状、この問に対する答えは「イエス」である。
今年の3月以降、ドル円の上昇トレンドが鮮明となった。
この時以降のドル円と米金利の相関係数を確認すると、相変わらず米5年債利回り(0.54)と10年債利回り(0.52)との間で強い相関関係を維持していることがわかる。
ドル円と米金利の相関マトリクス
期間:2022年3月1日~8月30日 / 相関係数は対数差分 / データ数:131
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -3% | 2% | 1% |
週次 | 13% | -4% | -1% |
一方、ドル円と日米株式の相関係数を確認すると、無相関の(直線的な関係がみられない)状況にある。ゆえに今のドル円は、株式よりも米金利に関する新たな情報やトレンドを常にウォッチしておくことが重要である。
ドル円と日米株式の相関マトリクス
期間:2022年3月1日~8月30日 / 相関係数は対数差分 / データ数:131
テクニカル分析入門
テクニカル分析について
FXで勝ちたいならテクニカル分析の知識は必須!
・140円トライを前に注目しておきたい2つのレジスタンスポイント
米金利の上昇が続く限り、そしてその可能性が高まっていることを考えるならば、ドル円(USDJPY)はもう一段の上値トライを想定しておきたい。
最大の焦点は節目の140.00トライだが、その前に注目しておきたいレジスタンスポイントが2つある。
ひとつは、7月の高値139.39レベルである。
この水準を完全に突破する場合はもう一つのレジスタンスポイント、フィボナッチ・プロジェクション38.2%の水準139.84レベル(日足チャートの緑ライン)の攻防に注目したい。
後者のテクニカルポイントは、今年3月からの上昇相場で付けた重要な高安を基点としている。
プロジェクション38.2%の水準(139.84レベル)をも突破する場合、ドル円の140.00トライは時間の問題となろう。
ドル円のチャート
TradingView 日足(今年3月以降)
テクニカル分析入門
フィボナッチ
フィボナッチを使いこなすには?
・米金利の低下→ドル円の反落でも下値は限定的と予想
ドル円と米金利の強い相関関係を考えるならば、米金利が低下する場合、ドル円は反落する展開を想定しておきたい。
テクニカルの面では、上で述べた7月の高値139.39レベルで二度上昇が止められる場合、ドル円の反落リスクを警戒したい。
だが、9月FOMC(連邦公開市場委員会)での75bps利上げの確率は70%台まで上昇している。
9月FOMCの利上げ確率
FEDウォッチ(8月30日12時過ぎ時点)
そして、現在の米債市場では景気の先行き懸念よりも、高インフレとそれを完全に抑制するまでFRBが持続的な金融引き締めを行う可能性の方を意識している。
よって、米金利が低下してもその幅は限定的となる可能性が高いだろう。
実際にドル円の反落局面で注目しておきたいチャートポイントは、以下の3つである。
① レジスタンスからサポートへの転換の兆しがある137.50レベル
② 今月22日から26日にかけて相場をサポートしたフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準136.22レベル
③ 137.50レベルと同じくレジスタンスからサポートへの転換の可能性がある135.37レベル
まずは137.50レベル以上の水準を維持できるかどうか?この点を確認したい。
ドル円のチャート
TradingView 4時間足(今年6月以降)