ユーロドルの展望とチャートポイント
【サマリー】
- ユーロドルは現在、米ドル安にサポートされ反発地合いにある
- しかしユーロドルを取り巻く経済情勢は何も変わってない
- また、11月だけでなく12月の米FOMCでも0.75ポイント利上げの可能性が高まっている
- 利上げペースの差もユーロドルの重石に
- ユーロドルは調整の反発を挟みながら下値を模索するトレンドが続くと予想する



・調整の反発地合い
ユーロドル(EURUSD)は現在、21日移動平均線(MA)が推移している水準0.98レベルまで反発する展開が見られる。
このMAの突破に成功する場合は、再び重要チャートポイントの0.9860レベルをトライする可能性が出てくる。
0.9860以上の攻防となれば、短期レジスタンスラインを視野に上昇幅が拡大する可能性もあろう。このラインは今日現在、0.9940レベルで推移している。
ユーロドルのチャート
Trading View 日足(今年6月以降)
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 12% | -4% | 1% |
週次 | -7% | 8% | 2% |
・何ら変わっていないユーロドルを取り巻く情勢
しかし、今回のユーロドル(EURUSD)の反発も短期間で終息する可能性が高い。
ユーロドルを取り巻く情勢に何ら変化が見られないからだ。
現在、ユーロ圏のインフレ率(消費者物価指数)は前年比で10.0%に達している。
エネルギーと食品がインフレの進行をけん引しているが、サービスや工業製品に至る幅広い分野でも価格が上昇している。
ロシアがウクライナに対して再び攻勢を強めていることを考えるならば、ユーロ圏のインフレ率は高止まりする可能性が高いだろう。
一方、現在の政策金利の水準は1.25%である。
欧州中央銀行(ECB)は持続的な利上げによってインフレを抑制するスタンスにあるが、残り2回の会合で中立金利の2%水準に到達しても、インフレ率の水準には遠く及ばない。
また、以下で述べるとおり、利上げペースとその水準も米国に及ばない。
ロシアーウクライナ紛争の長期化は、ユーロ圏の経済に大きなダメージを与えている。
このタイミングで性急な利上げを行えば、米欧の景況感の差でも米ドルに軍配が上がるだろう。
米欧のインフレ率と政策金利の水準
ブルームバーグのデータより作成 / インフレ率は消費者物価指数(前年同月比)
・12月のFOMCでも0.75ポイント利上げの可能性が高まる
利上げペースの差もユーロドル(EURUSD)の重石となろう。9月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比で8.2%と、6月の9.1%から3カ月連続で低下しているが、予想の8.1%は上回った。
一方、エネルギーと食品を除くコアの上昇率(前年同月比)は6.6%と、2カ月連続で伸びが拡大した。
9月のCPIで米国のインフレリスクの根強さがあらためて確認されたことで、11月だけでなく12月の連邦公開市場委員会(FOMC)でも0.75ポイント利上げの確率が上昇している。
FOMCの利上げ予想確率(左:11月の予想 / 右:12月の予想)
出所:FEDウォッチ / 13時30分時点
・下落トレンドの継続を想定
ユーロドル(EURUSD)が0.9860レベルの突破に成功する場合は、レジスタンスラインのトライが次の焦点として浮上しよう。このレベルは、直近高安の半値戻しの水準でもある(下の1時間足チャートを参照)。
ユーロドルがレジスタンスラインをトライするシグナルとして、直近高安のリトレースメント76.4%の水準0.9912レベルを突破するかどうか?この点に注目したい。
一方、ユーロドルが反落する場合は、0.9670レベルの攻防に注目したい。
この水準(0.9670レベル)を下方ブレイクする場合は、昨日の安値0.9631レベルのトライおよびブレイクが焦点として浮上しよう。このレベルの攻防は、0.96台維持の攻防でもある。
ゆえに、0.9630の下方ブレイクは、9月28日の安値0.9535レベルを再びトライするシグナルとして警戒しておきたい(下の日足チャートを参照)。
ユーロドルのチャート
Trading View 1時間足(10月以降)
ユーロドルのチャート
Trading View 日足(今年6月以降)