ユーロ円の展望とチャートポイントについて
【サマリー】
- 9月のFOMC以降、ドル円とユーロ円の相関関係が崩れている
- 9月以降のユーロ円はユーロドルと同じく株安に連動する状況へ転じている
- ユーロドルは3つの要因から下落トレンドの維持が予想される
- ユーロ円は下落リスクを警戒する局面にある
・ドル円との相関関係が崩れるユーロ円
今年の3月以降、ユーロ円はドル円の上昇トレンドに追随する状況が続いてきた。
しかし、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)以降、ユーロ円とドル円の相関関係が崩れる状況となっている(下のチャートを参照)。そして世界株式の下落に追随する状況となっている。この動きは、ユーロ円に限らず主要国通貨(G10通貨)全般に見られる。
つまり、9月FOMC以降の外為市場では、かつて見られた典型的な“リスク回避の円買い”の圧力が高まっている状況にあると考えられる。
ユーロ円、ドル円、世界株式のチャート
ブルームバーグのデータより作成 / 1時間足(9月以降)/ 世界株式はMSCI World Index
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -7% | -1% | -2% |
週次 | 42% | -5% | 3% |
・ユーロドルの下落トレンドに追随するユーロ円
リスク回避の円買い圧力だけでなく、ユーロドルの下落トレンドが続いていることもユーロ円の下落要因となっている。
実際にユーロ円とユーロドルのチャートを重ねてみると、今月8日の欧州中央銀行(ECB)理事会後に両通貨ペアの相関関係が高まっていることが確認できる。
そして9月FOMC以降、ユーロドルの下落幅拡大に連動してユーロ円も同じ動きとなっている。
今日のIGレポートでは、ユーロドルの下落トレンドが加速する3つの要因について指摘した(詳細についてはこちらを参照)。
これら3つの要因は、中長期のスパンでユーロ相場の重石となることが予想される。
よって、ユーロ円は下落リスクを警戒すべき局面にシフトしたと考えられる。
ユーロ円とユーロドルのチャート
ブルームバーグのデータより作成 / 1時間足(9月以降)
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 4% | -18% | -6% |
週次 | 36% | -26% | 3% |
・ユーロ円 注目しておきたい下値のチャートポイントは?
ユーロ円の下落リスクを重視する場合、目先の焦点はフィボナッチ・プロジェクション76.4%の水準137.32レベルのトライおよびブレイクとなろう。
週明け26日の東京時間に、このテクニカルポイントを試す局面が見られた。しかし、長い下ヒゲが示現し、レポート執筆時点では相場のサポートに成功している。
ユーロ円が76.4%の水準を下方ブレイクする場合、次に注目したい下値のポイントは、今年の上昇トレンドを象徴している短期サポートラインの維持となろう。このラインは今日現在、136.80レベルで推移している。
短期サポートラインをも下方ブレイクする場合は、フィボナッチ・プロジェクション100.0%の水準134.75レベルを視野に下落幅が拡大する展開を想定しておきたい。
134円後半は、8月に相場をサポートし144円台へ上昇する起点となった経緯がある。
ユーロ円のチャート
Trading View 日足(今年3月以降)
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・ユーロ円 注目しておきたい上値のチャートポイントは?
一方、株式市場やユーロドルが反発する局面では、ユーロ円の上昇を想定しておきたい。
このケースでの焦点は、89日EMAのトライおよびブレイクに成功するか?まずはこの点に注目したい(上の日足チャートを参照)。
今日現在、このEMAは139円前後で推移している。
先週22日の欧州タイム以降、139.00前後で上値の重い展開が見られる。この状況を考えると、89日EMAでユーロ円の反発が抑制される可能性がある。
ユーロ円が89日EMA(139.00レベル)の突破に成功しても、サポートからレジタンスへ転換する兆しが見られる140.30レベルで反落する可能性も想定しておきたい。
ユーロ円が上2つのレジスタンスポイントを突破する場合は、直近(9月FOMC後)の高安フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準141.28レベルの攻防が注目される。
しかし冒頭で述べたとおり、ドル円との相関関係が崩れていることも考えるならば、ユーロ円は上昇基調への転換よりも下落(反落)リスクの方を強く意識しておきたい。
ユーロ円のチャート
Trading View 1時間足(今月20日以降)