金(金/米ドル) 週間見通し: 弱気
- 金価格は景気後退の懸念が高まる中、4週間連続の下落が止まる
- マーケットは成長への懸念を金利見通しの冷え込みに結びつけた
- 米連邦準備制度理事会(FRB)や他の政策立案者のタカ派的な姿勢が、再び売りを加速させる可能性がある



金価格は4週間続いた下落トレンドが止まり、1月以来の安値にタッチした後、高値で引けました。先週後半の反発は、急激なインフレによる家計消費への悪影響から景気後退への懸念に拍車がかかったことによるものでしょう。家計消費は経済成長において最重要といえます。
米小売大手ターゲットが発表したガイダンスは、最も目を引くニュースでした。物価上昇によって需要が減少していることを強調しており、消費者を投入コスト上昇から守り、購買意欲を維持するためには、利幅の一部を手放さなければならないと述べています。
FRBが物価上昇を抑制するための積極的な金融引き締めサイクルの初期段階にあるため、小売レベルの需要破壊がすでに進行していることは一段と懸念されます。FRBはすでに0.5%の利上げを実施し、マーケットでは年末までに、さらに2%の利上げを見込んでいます。
その結果、成長率がさらに低下することは否定できないでしょう。実際に、ジェローム・パウエルFRB議長は先週、インフレ抑制がFRBの最優先課題だと繰り返していました。さらに、金利が成長を阻害し始める「中立」レベルを上回る可能性があることを認めており、失業率の上昇も起こり得るとも述べています。

金価格の日足チャート TradingView で作成
金は所有者に利息を生まないため、マーケットが景気後退への懸念を金利見通しの冷え込みに結びつけた際にも、金の魅力が高まりました。イールドカーブは全体的に平坦化し、ロングエンド(5年国債と10年国債の利回りの差)は若干の反転がみられました。
FRB議長の発言で金(金/米ドル)が再び売られる可能性あり
ただし、金は先週の反発から下落する可能性があります。世界の主要国から発表されるPMIデータは、景気後退の拡大を反映していると思われます。さらにFRB議長からの絶え間ない発言は、インフレ政策担当者の優先課題を再び強調するでしょう。
FRBは最新のFOMC議事録を公表し、パウエル議長を含む多くの当局者が発言する予定です。ラガルドECB総裁や黒田日銀総裁からも発言があるでしょう。ニュージーランド準備銀行(RBNZ)では、さらに0.5%の利上げが実施される予定であり、オア総裁が記者会見を開く予定です。
--- DailyFX アジア太平洋地域チーフストラテジスト イリヤ・スピヴァク著
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