アジア時間は、DailyFXの成功するトレーダーの特長シリーズで説明されているように、一日のうちでFXに最適な時間帯の1つです。東京市場に代表されるアジア時間は、他の主要な取引時間帯に比べて、 流動性やボラティリティが低いため、見過ごされがちではあるものの、このような特徴があるからこそ、知っている人にとっては魅力的なものとなります。
この記事では、この取引時間帯の細かな違いを説明します。東京外国為替市場の営業時間を示し、トレーダーが「東京市場で取引する」際に考慮すべきアイデアと戦略を提供したいと思います。



東京外国為替市場の営業時間(FXの東京時間)
アジア時間は、日本時間の月曜朝9時に取引が始まり、午後6時に終了します。ロンドンにいるトレーダーがアジア時間をリアルタイムで追うには、早朝の午前0時から9時(GMT)まで起きていなければなりません。
FXは24時間取引可能であるため、公式な開始時間は主観的なものです。厳密に言えば、ニュージーランドとオーストラリアのシドニーが、適度な規模の金融ハブとして最初に取引を開始しますが、一般的には、取引量の多い東京の銀行の開始が、アジア時間の開始と言われています。
以下は、トレーダーがそれぞれのタイムゾーンでアジア市場において取引ができる時間帯のまとめです。
主要な取引場所におけるアジアの取引時間
取引場所 | 主要市場 | *時間(現地時間) |
---|---|---|
アジア | 東京 | 午前09:00~午後06:00 JST |
欧州 | ロンドン | 午前00:00~09:00 GMT |
米国 | ニューヨーク | 午後07:00~午前04:00 ET |
*これらの時間はサマータイムによって変更されることがあります。
欧米の主要経済都市では、東京時間の大半が営業時間外のため、取引量が少ないのが特徴です。
東京時間で知っておくべき5つのこと
東京時間では、一般的に流動性やボラティリティが低いために、サポートラインとレジスタンスラインが堅いことで知られています。アジア時間の特徴は以下の通りです:
- 低い流動性
- 低いボラティリティ
- エントリーとエグジットのレベルが明らか
- 健全なリスク管理に最適
- 閉場後のブレイクアウト手法を使った取引の機会がある



1)低い流動性
流動性の低いアジア時間は、例えば EUR/USD、GBP/USD、EUR/GBPでは、一般的に観察される取引レンジ外で大きな動きをする可能性が低くなります。下のチャートがこのことを示しています。アジア時間は小さな青いボックスで、ロンドン時間と米国時間は大きな赤いボックスで囲まれています。

2)低いボラティリティ
市場に流入する流動性は主にアジアからのものであるため、一般的に動きはロンドンや米国時間で見られるものよりもかなり小さくなります。下の図は、通貨が一日の中でどれだけ変動するかを示しています。このチャートでは、アジア時間以外に高いピークがある(変動が大きい)ことがわかります。

出典:DailyFX 成功するトレーダーの特長リサーチ(2010~2012
3)エントリーとエグジットのレベルが明らか
サポートラインとレジスタンスラインは、トレーダーが取引を開始または終了するための基準となります。これにインジケーターのシグナルを組み合わせることで、良い取引ができる確率がさらに高まります。
4)健全なリスク管理に最適
アジア時間は値動きが静かであるため、トレーダーはより良い取引管理ができるでしょう。市場の動きがゆっくりとしているため、リスクとリターンのより詳細な分析が可能になります。基本的に、アジア時間は、サポートラインとレジスタンスラインが明確で、取引レンジと一致しているため、トレーダーにとっては見極めが容易です。
5)閉場後のブレイクアウト
アジア時間の終了と、ロンドン時間の開始は重なっています。瞬時に流動性が増し、堅かった取引レンジからのブレイクアウトを目撃することもたびたびあります。
東京時間におけるベストな通貨ペア
東京時間の取引における最適な通貨ペアは、個々のトレーダーや採用する戦略によって異なってきます。ボラティリティを求めるトレーダーは、日本円、シンガポールドル、豪ドル、ニュージーランドドルのクロスで取引する傾向があります。
変動の少ない通貨を求めるトレーダーには、主にEUR/USD、GBP/USD、EUR/GBPなどのアジア以外の通貨が挙げられます。
アジア時間におけるレンジ取引の手法
レンジ取引は、流動性の高いロンドンや米国時間に比べて、サポートラインやレジスタンスラインが堅固なアジア時間での取引に適しています。
東京時間で最も一般的な2つの戦略にブレイクアウトとレンジ取引があります。これはレンジ取引の際のショートポジションの例ですが、ロングポジションにも同じ論理が適用できます。

取引の設定:レンジ取引の一つの方法は、価格がレジスタンス付近で取引されているときに売りシグナルを探し、最初の利益確定における価格帯をレンジの底付近に設定することです。トレーダーは、多くの場合、売買シグナルを提供するRSIやストキャスティクスなどのオシレーターを利用します。アジア時間は、チャート上で青線内の範囲で取引がおこなわれます。
エントリーポイント: この戦略では、価格がサポートラインに近づいたら買い、レジスタンスラインに近づいたら売る、というシグナルを探すことになります。ストキャスティクスは、市場が買われすぎの状態にあるときに表示され、売りのシグナルとなります(青丸で囲んだ部分)。さらに確認すると、価格はレジスタンスレベルに達しており、これはショートで取引をおこなう機会となります。
ストップロス: ストップはレジスタンスラインの上に置くことができます。経験上、このレジスタンスラインは価格が跳ね返る価格帯であるからです。
利益確定: プロのトレーダーは、取引が自分にとって不利に動いた場合に損をする可能性があるものに比べて、常に有利な方向に動くより多くのピップスを求めます。これはリスクリターン率と呼ばれ、望ましい比率は最低で1:1です。つまり、市場がレンジの上限から下限に移動した場合、トレーダーは30ピップのリスクを冒しながら80ピップを目標とし、リスクリターン率は1:2.67となります。
ロンドンと米国時間で流動性が大幅に高まると、レンジ取引の効果は薄れる可能性があります。チャートにはこれが反映されており、下方向に大きくブレイクアウトした後、チャネル内に戻っています。レンジ取引では ストップとリミットを利用して、チャネル内の価格変動リスクを維持します。



アジア時間ブレイクアウト戦略:
アジア時間ブレイクアウト戦略は、グリニッジ標準時午前8時(日本時間の午前17時)に開始されるロンドン時間での急激な価格変動を利用するものです。流動性の流入は、トレーダーが予想するブレイクアウトにつながります。

小さな時間枠(5~30分足)では、アジア時間で見られた取引レンジの上か下にローソク足がつくのを待つことができます。価格がレンジを下抜けた場合、トレーダーは直近のスイング高値にタイトストップを置いて取引に入ることができます。目標レベルを設定する際には、取引レンジの上限から下限までのピップ数を考慮し、参入レベルから同じ距離(この例では80ピップ開いた場所)に目標を置くことができます。
FXの取引時間帯に関するその他の情報
- ペースの速いロンドン時間や、米国市場の取引が最も変動する時間帯について知ることができます。
- 一日の取引の中で見られる特徴を知っていると役に立ちます。24時間体制の外国為替市場の概要をまとめた主要な外国為替市場取引時間帯をご覧ください。