
マーケットが混乱している時、トレーダーは嵐を乗り切るためにセーフヘイブン(安全な避難先)である安全資産株に注目するでしょう。それは安全資産株がポートフォリオの分散化とリスク軽減を可能にするからです。
本記事では、安全資産株の活用について以下の重要なテーマに沿って説明します。
- 安全資産株とは何か?
- 景気循環株と非景気循環株
- マーケットが不安定な時に最適な安全資産株
- 安全資産株をトレードする際のポイント
- 注目すべきその他の安全資産
安全資産株(ディフェンシブ銘柄)とは何か?
安全資産株はディフェンシブ銘柄または非景気循環株と言われており、マーケットが混乱している時でも価値の維持や上昇が期待できる銘柄です。つまり、経済の見通しが不透明な時にリスクを低く抑えることが可能です。
投資家やトレーダーはマーケットが低迷した時の損失を最小限におさえるために安全資産株に注目しますが、「セーフヘイブン」とみなされる銘柄はマーケット環境の変化に応じて変わるのです。
安全資産株の役割はポートフォリオを分散させること、あるいは単に下落するマーケット環境に打ち勝つものであることを心に留めておいてください。
景気循環株と非景気循環株(ディフェンシブ銘柄)とは
景気循環株は景気の動向によって変動する銘柄のことです。マーケットが低迷し景気後退に陥ると、景気循環株の株価は下落する傾向があります。逆に経済が好調な時は、これらの企業の収益が増すことで株価が上昇する傾向があります。例えば、BMWやボーイングといった自動車会社や航空会社が該当します。
非景気循環株(安全資産株)は株式マーケットの状況に関わらず投資家に安定したリターンをもたらす銘柄のことです。通常、景気後退期にマーケットの動きを上回り、景気拡大期にはマーケットの動きを下回ります。安全資産株は大きく分けて以下3つのカテゴリーに分類されます。
- 公益事業
- 生活必需品
- ヘルスケア
水道や石油、電力などの公益事業は消費者にとって必要不可欠なものであるため、経済環境が低迷している時にはこれらの企業が好まれます。また、衛生、食品・飲料などの習慣性がある消費財も経済状況に関わらず購入されるため、安全資産株とみなされるでしょう。さらにヘルスケアにおいては、金融、経済、社会がどのような状況であっても変わらずに購入される商品です。例えば、サザン・カンパニーやペプシコ、ファイザーなどが該当します。
マーケットが不安定な時に最適な安全資産株(ディフェンシブ銘柄)とは
変動が激しく不安定な状況下において最適な安全資産株は、前述で分類したディフェンシブ銘柄が該当します。以下、個々のカテゴリーにおける代表的な安全資産株を紹介します。
公益事業株:
- ネクステラ・エナジー
- サザン・カンパニー
- ヨーク・ウォーター
- ニュージャージー・リソース
- キャボット・オイル・アンド・ガス

生活必需品株:
- プロクター・アンド・ギャンブル
- コルゲート・パルモリーブ
- コカ・コーラ
- ウォルマート
- フィリップ・モリス・インターナショナル
- コストコ・ホールセール

ヘルスケア株:
- ジョンソン・エンド・ジョンソン
- ファイザー
- メルク・アンド・カンパニー
- ユナイテッド・ヘルス・グループ

安全資産株(ディフェンシブ銘柄)をトレードする際のポイントとは:高配当?PER?
安全資産株は経済の低迷を乗り切るための防衛手段として用いられますが、たとえ ディフェンシブ銘柄といえどもプラスのリターンを得られない可能性があります。
景気低迷時には安全資産株が株式マーケット全体よりも高いパフォーマンスを示すことは多いのですが、これが利益につながるわけではありません。安全資産株を見極めてトレードする際にはいくつかの要素を考慮する必要があるのです。
1)ベータ値
トレーダーは投資前に銘柄のベータ値を考慮する必要があります。ベータ値とは、個々の株式とマーケット全体における相関関係を指しています。ベータ値が1の場合は、株価とマーケットが強く相関していることを示しています。ベータ値が1より大きい場合はマーケットよりも変動しやすいことを示し、ベータ値が低い(0に近い)場合はマーケット状況との関連性が低いことを示しています。これによりトレーダーはボラティリティの上昇をヘッジすることができます。
2)配当
一般的な経験則から言えば、配当利回りが高い(6%超)銘柄は安全資産株として最適であると考えられます。このような企業はマーケットが不安定な時期にも価値を維持しているものです。配当は固定収入源になりますが、配当再投資プランによって企業に再投資されるケースもあります。
3)PER(株価収益率)
安全資産株はPERが割安なことで知られています。PERとは、企業の1株当たり利益に対する株価の比率のことです。この比率で企業を評価することで、株価が割安か割高かを判断することができるのです。PERが低い銘柄は、過去の動きに比べて割安かパフォーマンスが優れていると考えられるため、安全資産株の理想的な候補になります。
4)大手優良企業
例外ではありますが、株式マーケットで定評のある企業も安全資産株として優れた候補になりえるものです。人々は確立されたブランドに固執する傾向があり、たとえ株価が下落している時でも企業に信頼を置いているものです。一般的にこのタイプの株は景気後退時において中・小型株よりも価値が低下しない傾向があります。
特定の要因が他の要因よりも優位に立つことはありません。安全資産株を選択する前に徹底したリサーチと分析をおこなう必要があります。上記すべての要因を精査してポートフォリオのリスク許容度に最も適した銘柄を見つけ出してください。



安全資産株(ディフェンシブ銘柄)でよくある質問(FAQ)
安全資産株とディフェンシブ銘柄の違いは何ですか?
安全資産株とディフェンシブ銘柄は、同じ非景気循環株の動きを指す同義語です。経験の浅いアナリストやトレーダーは数々の専門用語に戸惑うかもしれません。これは難しく思える金融マーケットで多くの分野に当てはまることです。方程式から複雑な用語を抜き出すことが株式マーケットの本質的な側面を分析するのには効果的でしょう。
注目すべきその他の安全資産(ディフェンシブ銘柄)とは
安全資産は、株式マーケットだけに限りません。景気後退局面で安全性を確保するためにFXや金など他のマーケットに目を向けることもできます。安全な通貨に関するガイドをご覧になるか、以下の安全資産に関する情報を参照してください。