
ニュース発表を活用してトレードするには、徹底した冷静さと準備、そして明確な戦略が必要です。このような資質がないトレーダーは、目まぐるしく変化するマーケットの興奮に飲み込まれ、結局は損失を出してしまいます。この記事では、大きなニュースの発表時に、そのニュースを活用したトレード方法について役立つ戦略を紹介します。
経済指標などのニュースを活用したFXの2つのトレード戦略
ニュース発表を活用したFXで、よく用いられる戦略は次の2つです。
- イニシャルスパイクフェード戦略
- ニュースストラドル戦略
どちらも、発表時のマーケット環境に応じて取るべき堅実な戦略であり、そのマーケットへの最善のアプローチ方法を示すものです。
いずれにせよ、まずはニュースを活用したトレードの基本をしっかりと理解しておくことが必要です。



1. イニシャルスパイクフェード戦略
この戦略は、最初の動きを弱める(フェードする)ことで、マーケットの過剰反応を短期的に利用しようとするものです。大きなニュース発表の後には動きの速い不規則な値動きがよく見られ、これを利用する戦略は、リバーサルトレーダー、スキャルパー、デイトレーダーに適しています。
FXでは、過剰な反応とその後の反転がかなり頻繁に見られます。これは、大規模な機関投資家が最初のボラティリティを高めるためです。マーケット全体が過剰に反応して急上昇しますが、その後に発表前の水準に値が戻ることがよくあります。
マーケットが落ち着いてスプレッドが通常に戻ると、反転の勢いが増し、新たなトレンドの可能性を示す兆候が現れることがあります。
この戦略の欠点は、最初のスパイクが、その方向への長期的な動きの始まりとなる可能性があることです。このため、大きな損失を抑え、損失を出すトレードから素早く抜け出すために、明確なストップを使用することが非常に重要です。
イニシャルスパイクフェード戦略は以下の方法でおこないます:
- 適切な通貨ペアを選択する:狙っているニュース発表が、トレードする通貨ペアに関係していることを確認します。たとえば非農業部門雇用者数はUSDクロスの通貨ペアに影響を与えます。
- 5分足のチャートに切り替える:目的のマーケットを選択したら、ニュース発表の直前に5分足のチャートに切り替えます。
- 最初の5分足の終値を観察する: 最初の5分足は、通常はかなり大きくなります。価格がスパイクの高値または安値のどちらかに近づいたら、反対方向にトレードして動きをフェードします。
- ストップとリミットを設定する: ストップは、ショートでのトレードの場合は高値の15ピップ上、ロングでのトレードの場合は安値の15ピップ下に置きます。ターゲットは、ストップの2倍または3倍の値に設定します。

2. ニュースストラドル戦略
ニュースストラドル戦略は、ボラティリティが大幅に上昇すると予想しながらも、その方向性に確信が持てないトレーダーに最適です。この戦略は、オプション取引の世界で一般的な「ストラドル戦略」から名前を取ったもので、基本戦略も同じです。方向性が定まらない時にボラティリティの上昇を活用するというものです。
ニュースを活用したストラドル戦略の欠点は、価格がサポートラインやレジスタンスラインをブレイクした後、結局はすぐに反転してしまうことです。同様に、価格がエントリーオーダーを約定させてターゲットに向かって動いた後、結局はストップにかかるまで反転することもあります。
この戦略は、以下の手順でおこないます。
- サポートラインとレジスタンスラインでレンジを確立する
- 2つの新規注文を設定する: エントリーオーダーを設定します。価格がレジスタンスラインの上に抜ける場合はロングに、サポートラインの下に抜ける場合はショートにします
- 方向性を確認してから残りの注文を取り消す: 相場がレンジを抜け出す可能性があり、いったんそうなれば、1つのエントリーオーダーが約定され、トレードが始まります。約定されなかったエントリーオーダーは、すぐに取り消します
- ストップとリミットを設定する:ロングの場合は直近のレンジの安値で、ショートの場合は直近の高値でタイトなストップを設定します。リミットは正のリスク・リターン比率に合わせて設定します

経済指標などのニュース発表時を狙ったFXのトレード:まとめ
ニュースが発表された時点におけるトレードでは、短時間でボラティリティが上昇するため、トレーダーが圧倒される可能性があります。しかし、しっかりとした戦略を採用することで、こうした不安定な時間でも自信を持って臨むことができます。利用できる場合はストップ保証を使えば、マーケットの暴走によるリスクも軽減できます。
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経済指標などのニュース発表時のFXのトレードに関するよくある質問(FAQ)
発表後のマーケットの方向性を見極めるにはどうすればいいですか?
一つには、経済ニュースの発表内容を予想することですが、そのニュースに対するトレーダーの反応を予測することは非常に難しいことです。予想に意外性がない場合や前回の数値と近い場合には、マーケットはその情報をあらかじめ織り込む傾向があり、発表までにはマーケットに反映されてしまいます。ただし、たとえ予想通りのニュースが出たとしても、相場の方向性やトレンドが維持されるとは限りません。なぜなら、市場参加者が違えば、マーケットに影響を与える結論も違ってくるからです。
予想通りのデータを悪いことと捉える人もいれば、よいことと捉える人もいます。最終的には、あらかじめリスクの数値を設定したうえで、戦略を立てる必要があるのです。


