FXにおけるピボットポイント戦略は、相場のバイアスやストップの設定、トレードの潜在的な利益目標を見極めることにおいて非常に心強い味方になるでしょう。
ピボットポイントは、何十年もの間トレーダーから頼りにされている指標です。基本的な考え方は、前日の価格から当日のサポートラインやレジスタンスラインを算出できる、というものです。ピボットポイントを用いたトレード戦略は多岐にわたるため、FXトレーダーにとっては幅広く使えるツールとなっています。
本記事では以下の内容を説明します。
- ピボットポイントの定義
- ピボットポイントの計算方法
- ピボットポイントを用いたFXのトレード
- ピボットポイントを活用したトレード戦略
- ピボットポイントとフィボナッチリトレースメントの違い



ピボットポイントとは
ピボットポイントは、FXトレーダーが将来のマーケット動向を予測するためのテクニカル指標で、重要な価格水準を示すものです。この指標は、トレンドの判断やサポートラインとレジスタンスラインを判断するために使用され、さらに利益目標やストップロス、エントリーポイントとエグジットポイントの設定にも利用できます。
ピボットポイントの例:

ピボットポイントの計算方法
ここでは、「フロアピボット」と呼ばれる最も基本的なピボットポイントの計算方法と、それを活用したサポートラインとレジスタンスラインの価格を計算する方法も紹介します。
ピボットポイントの計算式
ピボットポイント(PP)=(高値+安値+終値)/3
第1レジスタンスライン(R1)=(2×PP) - 安値
第1サポートライン(S1)=(2×PP) - 高値
第2レジスタンスライン(R2)=PP+(高値 - 安値)
第2サポートライン(S2)=PP - (高値 - 安値)
第3レジスタンスライン(R3)=高値+2(PP - 安値)
第3サポートライン(S3)=安値 - 2(高値 - PP)
サポートラインとレジスタンスラインは上記のように計算することができますが、ピボットポイントの計算方法は他にもあります。また、それらは多くのプラットフォームで利用することができ、異なるタイムフレームを活用することができます。下の図は、弊社プラットフォームで提供している日足ピボットの例です。週足や月足のピボットについても同じように計算することができます。

ピボットポイントの計算はどのようにして生まれたのか?
つい最近まで、コンピューターは一般に広く普及してはいませんでしたので、マーケットメーカーやフロアトレーダーは、価格が「安い」か「高い」かを相対的に判断する方法を必要としていました。そのような状況の中で、簡単に計算できるピボットポイントは生まれました。
シンプルに前の期間の高値、安値、終値を3で割った値が「ピボット」です。 このピボットから、各々3つのサポートラインとレジスタンスラインを計算します。

FXでピボットポイントを活用する
ピボットポイントは、従来からの サポートラインとレジスタンスラインの手法に沿って活用します。サポートラインやレジスタンスラインも同様ですが、価格は特定の価格帯を意識する傾向があります。ピボットポイントの価格帯は何度も繰り返しテストされるので、さらに実証されていきます。
トレーダーは、各種指標やローソク足のパターン、オシレーター、ファンダメンタルズ、プライスアクションなど、追加の分析ツールをピボットと組み合わせて活用し、トレードの意思決定をおこないます。
ピボットポイントを活用するトレードは、下記のようないくつかの基本的なガイドラインがあります。
- 価格がピボットより上なら強気のバイアス
- 価格がピボットより下なら弱気のバイアス
- 長期間のピボットポイントは、データ数が多いため信頼性が高い
- サポートラインとレジスタンスラインはピボットの延長線上にあり、重要な価格帯として使用できる



ピボットポイントを活用したFXのトレード手法
1.ピボットポイントを活用したスイングトレード
中長期のトレードを望んでいる場合は、タイムフレームを週足や月足に設定するスイングトレードが一つの選択肢になります。
下のチャートは、ピボットポイントのみを追加した週足チャートです(プラットフォームのピボット設定を変更することで簡単に編集できます)。このチャートでは、価格がピボットのレジスタンスラインを突破した後、トレンドが上昇方向に反転したことが分かります。
その後は設定したピボットがサポートラインとして機能しますので、ピボット価格でロングのエントリーオーダーを出すことができます。偽のブレイクアウト(青丸部分)がありますが、この後かなりの上昇幅があるため、上昇する値動きを利用することができます。ピボットレベルは必ずしも価格が含まれるわけではありませんが、トレンドのバイアスを維持するための価格帯を提供します。これは、スイングトレーダーにとっては理想的な長期の時間軸になります。
USD/ZAR週足チャート

2.ピボットポイントを活用したブレイクアウト戦略
多くのトレーダーは、大きく動く可能性があるようなボラティリティの高い時期にトレードを集中させようと考えるでしょう。
動きの速いマーケットでは、トレーダーがサポートラインやレジスタンスラインを突破した状況をトレード開始のチャンスと見なすことがあります。これは、特に長期的なピボットの価格に関連しており、週足や月足のピボットポイントに注目します。下のチャートでは、ピボットポイントのブレイクアウト戦略を設定する方法を示しています。ここでは、まずピボットのみを指標とし、さらに複雑なサポートラインとレジスタンスラインを用いています。
このチャートの例では、サポートラインとレジスタンスラインを除いたピボットポイントを示していますが、ピボットが週足で表示されているため、より信頼性が高い重要な価格のデータを提供しています。このピボットは、ブレイクアウトする数本前のローソク足までは、重要な価格帯として用いられています。一度ブレイクアウトしてしまえば、ピボットを上回る価格は強気のバイアスを示すため、ロングトレードを狙うことができます。
USD/ZARの4時間足チャート


ピボットポイントとフィボナッチリトレースメント/エクステンションの違いとは?
ピボットポイントとフィボナッチリトレースメント/エクステンションは、いずれも隠されているサポートラインとレジスタンスラインの価格を明らかにするものですが、以下に示す大きな違いがあります。
ピボットポイント | フィボナッチリトレースメント/エクステンション |
---|---|
直前の期間における高値、安値、終値の平均値を計算する | フィボナッチ数列から求められる一定の比率にもとづく |
過去の期間における高値や安値にもとづく | 過去の波動における高値や安値にもとづく |
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