
FXの決済のタイミングについて
多くのトレーダーは、新規ポジションを取るタイミングに注意しますが、さらに重要なことは、取引の決済タイミングです。決済タイミングで取引の成功度がほぼ決まります。今回は、有効な3種類の決済戦略を解説いたします。
効果的な取引の決済タイミングと戦略:
- 従来の逆指値注文/指値注文(サポートラインとレジスタンスラインを使用)
- 移動平均線を用いたトレーリングストップ
- ATRを用いたボラティリティベースでのアプローチ
トレーダーは取引を開始する絶好のタイミングを見極めることに、多くのエネルギーを費やします。これは重要なことですが、最終的にはトレーダーの決済タイミングによって、その取引の成功度が決まります。この記事では、トレーダーが新規ポジションを取ってから決済をする際に考慮すべき3種類の決済戦略について説明します。
FXの決済タイミングと戦略1:従来の逆指値注文/指値注文(サポートラインとレジスタンスラインを使用)
決済における最良の方法の一つは 感情を抑えることで、取引の開始時に新規注文として指値注文、決済注文として逆指値注文を設定することです。これは、「損切り」を使わずに取引を開始して、負けトレードで口座の資金を消費して冷や汗を拭うよりも、はるかに良い方法です。
DailyFXの3,000万件を超える本番口座でのトレードを調査した結果、「1:1」以上のリスク・リターン比率の設定が成功するトレーダーの共通の特長の一つであることがわかりました。
当調査結果の概要については、こちらのガイドをお読みください。



市場にエントリーする前に、トレーダーは想定できるリスクの大きさを分析し、そのレベルに逆指値注文を設定する一方で、少なくともそのpipsだけ離れたところに指値注文を置く必要があります。トレーダーが間違っていれば、許容できるレベルのリスクで自動的に取引が終了し、トレーダーが正しく、価格が指値注文に到達すれば、その取引も自動的に終了します。どちらの結果になっても、トレーダーは取引を終了することができます。
明確に定義されているUSD/JPY のサポートラインとレジスタンスライン

ロングを狙うトレーダーであれば、インジケーターを使用して明確な買いシグナルが出ると同時にサポートラインから反発する価格を探します。価格が一時的にサポートラインを割り込んだため、トレーダーはサポートラインのやや下に逆指値注文を置こうとするでしょう。価格が何度もこのラインに接近していることから、指値注文はレジスタンスラインの水準に置くことができます。ショートポジションの場合は、これを逆にして、逆指値注文をレジスタンスラインの近くに置き、指値注文をサポートラインに置くことができます。
FXの決済タイミングと戦略2:移動平均線のトレーリングストップ
以前から知られているように、移動平均線は、通貨ペアのトレンドがどの方向に向いているかを判断するための有効なツールとなります。基本的な考え方としては、価格が移動平均線より上にあるときに買いの機会を探し、価格が移動平均線より下にあるときに売りの機会を探します。他にも、移動平均線をトレーリングストップとみなす手法が有効です。
移動平均線(MA)が価格とクロスした場合、その時点で トレンドは変わっている可能性があります。トレンドフォローのトレーダーは、トレンドの変化が発生した時点でポジションを手仕舞いしたいと思うでしょう。こうした理由から、逆指値注文を移動平均線にもとづいて設定することは有効であると考えられます。

上のチャートでは、レジスタンスラインを突破したところでロングでの新規注文をしており、また、価格は100日単純移動平均線(MA)の上にあります。1:2の リスク・リターン比率を確保するために、逆指値注文は移動平均線から220ポイント、指値注文は440ポイントに設定しています。価格が上昇するとMAも上昇するので、逆指値注文はMA上に移動させます。逆指値注文の移動は、価格が急激に変化した場合のセーフティネットになります。
FXの決済タイミングと戦略3:ATRを用いたボラティリティベースのアプローチ
この最後のテクニックでは、アベレージ・トゥルー・レンジ(ATR) を活用します。ATRは、市場のボラティリティを測定するインジケーターです。基本的な使い方としては、過去14本のローソク足の高値と安値の間の平均レンジによって、市場のボラティリティがトレーダーにわかり、各取引の逆指値注文と指値注文を設定するために使用することができます。
ある通貨ペアのATRが大きければ大きいほど、逆指値注文までの幅を広くする必要があります。ボラティリティの高い通貨ペアで幅がタイトな逆指値注文を設定すると、逆指値注文までの幅が狭すぎる可能性があるため、これは理にかなっています。また、ボラティリティの低いペアに対して逆指値注文までの幅を大きく設定してしまうと、必要以上のリスクを負うことになります。
ATRインジケーターは、どの 時間軸 にも対応できる万能なインジケーターです。基本的には逆指値注文をATRの100%より少し広めの幅に設定し、指値注文をエントリーポイントから少なくとも同じ距離を離して設定するだけです。

ブレント原油のATRインジケーターは、チャートの下部に青色で表示されており、経験した中で最も高い平均ボラティリティが135.8pipsであることを示しています。したがって、トレーダーがショートで取引をおこなう場合、逆指値注文と指値注文はエントリーから135.8 pips離れており、リスクとリターンが1対1の設定となります。ATRの周辺に逆指値注文を置くことは、基本的にボラティリティをベースとした損切り注文となります。
チャートを見ると、このケースではリスク・リターン比率が1:1で、早々に取引を手仕舞いしたことがよくわかります。このことから、トレーダーは最小限のリスクでより多くのpipsを狙うべきであり、多くのpipsを狙うことで、結果的にリスク・リターン比率が向上するため、リスク・リターン比率を考慮することの重要性が分かります。
まとめ
- FXの決済のタイミングで取引の成功度がほぼ決まります
- インジケーターを使用して明確な買いシグナルが出ると同時にサポートラインから反発する価格を探す
- 価格が移動平均線より上にあるときに買いの機会を探し、価格が移動平均線より下にあるときに売りの機会を探す
- 過去14本のローソク足の高値と安値の間の平均レンジによって、市場のボラティリティがトレーダーにわかり、各取引の逆指値注文と指値注文を設定するために使用する


