銀は宝飾品や電子機器などに幅広く利用されている非常に人気の高い商品です。希少性では金に及びませんが世界で最も価値ある金属の一つと認識されており、また世界で最も取引されている商品の一つでもあります。本記事では、銀の用途、マーケットの歴史と仕組み、そして銀の価格に影響を与える要因についてご紹介します。



銀とは何か?何に活用されているのか?取引での使われ方は?
銀は宝飾品のほか銀製品や電子機器などの産業用途でも使われる貴金属です。銀はバーやコイン、地銀を購入したりすることで現物価格に投機することができます。化学記号はAgですが、金融マーケットではXAGという通貨記号が使われています。
最新の銀のチャートは経済の健全性を示す指標になります。またマーケットの実勢価格は、主要な商品や通貨ペア、株などの様々な金融マーケットにおける値動きを予測することにも役立ちます。
資産クラスとしての銀の歴史と取引価格の動き
資産としての銀の歴史は、紀元前3,000年に最初の採掘が確認されて以来、何千年も続いています。銀の人気の高まりとともに世界中に採掘が広まったことで銀の用途や価値は拡大していきました。19世紀末にはそうした需要を満たすために、年間1億2千万トロイオンスもの銀が生産されました。
マーケット価格の記録が開始されたのは1970年代のことです。当初の価格は1トロイオンスあたり1.80ドルでした。銀の価値は1980年代初頭に36ドルまで上昇しましたが、すぐに10ドル以下にまで落ち込み、20年以上もその状態が続きました。その後、2008年の金融危機の際には約2倍の20ドルまで上昇し高値を記録しましたが、その直後に再び下落しました。銀の価格が最高値を記録したのは2011年のことで、1オンス50ドル近くまで上昇しました。
金融危機後の銀の取引価格動向
下のチャートは2008年の金融危機後、数年間にわたる特に価格変動の激しかった時期における銀の価格の変動を示しています。

銀の取引価格に影響を与える要因
銀の価格に影響を与える主な要因は、需要と供給、世界経済、金銀比価などです。
需要と供給
他の商品と同様に銀の価格に大きな影響を与えるのは需要と供給です。全世界で年間平均27,000トンの銀が採掘されており、中国、メキシコ、ペルーが高い生産量を占めています。また、米国や英国、インドなどの大規模な輸入国では、年間29,000トンにものぼる需要があります。このような需要の増加や減少、または不均衡のいずれかが起こると銀の相場が変動します。
銀の需要の大部分は産業用途の拡大によるものです。銀は金属の中で最も高い導電性があるため、ソーラーパネルなどの持続可能なインフラにおける重要な構成要素になっています。また、医療分野においても銀の用途は多岐にわたります
経済的要因
銀の価格は世界経済の影響も受けます。景気の良い時期には電子機器や宝飾品、銀の部品が使われている自動車などでより多く消費されるため価格が上昇します。さらに経済危機や政治危機の際においても「より安価」で安全な資金の避難先として価格が上昇します。



金銀比価
金銀比価は1オンスの金を購入するのに必要な銀の重量をオンスで表したものです。2019年半ばには金銀比価が90に達しました。つまり、1オンスの金を買うのに90オンスの銀が必要ということです。このことから、銀は金に比べて長い間、割安で取引されて来たことが分かります。金銀比価が上がると、一般的に金と比べて安価な銀が好まれます。通常は比率が下がれば金が好まれるので銀を金に交換することが多くなります。
銀と米ドル
銀と米ドルは逆の関係にあります。これは、ドル安になると他国が銀を安く購入できるため、XAGの価格が上昇するケースが多いからです。つまり、ドル高になると銀の価格は上がります。銀の価格が高騰すると、その影響で貴金属全体としては下がる傾向にあります。
銀は米ドルと逆相関の関係にあるため、インフレヘッジとして人気があります。紙幣の価値が下落しても銀は価値を維持しているので、銀に投資することで損失を防ぐことができます。しかし、これはドル高が銀の価格に下向きの圧力をかけることにもなります。

銀の取引方法
銀は現物資産としての購入をはじめ、商品市場での先物やオプション、ETF(上場投資信託)など、さまざまな方法で取引されています。許可されている場合はCFD取引やスプレッドベッティングを用いて、銀の価格の上下を推測する取引もできるでしょう。
詳しくは銀の取引方法で説明しています。また、安定した取引戦略についても学ぶことができます。
なぜ銀の取引をするのか?
銀は以下の理由からトレーダーに人気のある商品になっています。
- 米ドル安を利用してインフレをヘッジする
- 世界規模の強い産業と需要の増加に投資したい
- ポートフォリオの多様性を維持する
銀とコモディティの取引に関するその他の情報
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