銅は世界で最も用途が広い金属の一つであり、主要な商品マーケットで広く取引されている資産です。本記事では銅に関する基礎知識やその歴史、さらに銅価格に影響を与える要因や取引のヒントなどを解説していきます。



銅とは何か?
銅は赤褐色の金属で農業や建築など幅広い分野で使用されています。商品マーケットで取引されている金や銀とは異なり、銅は代替通貨とはみなされていないため、コストがかなり低いのが特徴です。しかし、銅に影響を与える需要や供給要因の多くは他の金属と同様であり、主要な商品マーケットで広く取引される変動性の高い資産として知られています。
銅の用途
銅は肥料や宝飾品、家電製品などさまざまな用途に使われています。熱や電気を通す性質があるため、電気機器の配線やモーター、建築物におけるパイプやチューブなど、重要な部品として活用されています。また、真鍮や青銅などの合金にも使用されており、ジッパーやバルブ、装飾品などの用途もあります。
銅の歴史と取引価格の変動
銅の歴史は約一万年前、青銅器時代に初めて銅が製錬されたことに始まります。物々交換を基本とした商業貿易の歴史の中で、銅の価値は食料やワイン、家畜、他の金属などと比較されました。
ローマ時代以降、銅は金や銀と並んで貨幣の材料として使われるようになりましたが、銅本来の価値が低いため本位貨幣にはなりませんでした。
20世紀に入ると、銅は世界各地の多様な分野で使われるようになりました。その結果、銅価格は先に述べたような産業用途と連動するようになりました。
2000年代のコモディティブームでは銅価格が劇的に上昇し、2004年初頭は1ドル/ポンド前後だったものが、2006年5月には4ドル/ポンドまで上昇しました。下のチャートは、その後数年間における大きな価格変動とその原因を示しています。
銅価格(2013年半ば~2019年)

最大の銅生産国と最大手企業
銅の生産量が多い国はチリ、ペルー、中国です。チリは2番手のペルーと比較しても2倍以上の生産量を誇っており、2018年の生産量においてはペルーの240万トンに対し、チリは580万トンとなっています。銅生産上位10ヶ国および2018年の生産量(単位:トン)は以下の通りです。
- チリ - 580万
- ペルー - 240万
- 中国 - 160万
- 米国 - 120万
- コンゴ民主共和国 - 120万
- オーストラリア - 95万
- ザンビア - 87万
- インドネシア - 78万
- メキシコ - 76万
- ロシア - 71万
出典:Statista 2018
企業別に見ると、2019年現在でチリのコデルコ社、米国のフリーポート・マクモラン社、アングロ・オーストラリアの鉱山大手BHPビリトン社が銅マーケットの最大手企業となっています。
銅の取引価格に影響を与える要因
銅価格は需要と供給に加えて、代替金属の見通しなど多くの要因に左右されます。
供給
労働者のストライキや地震など、地政学的リスクや自然災害などの鉱山生産量を下げ得るリスクによって価格が影響を受けることがあります。
需要
需要面では、輸出量よりも輸入量が多い純輸入国が銅(またはその他の商品やサービス)の需要を支えています。過去100年間で銅の需要は約20倍にまで増加していますが、これは発展途上国がインフラの整備や経済活性化のために銅を使用しているからです。
さらに銅は住宅産業で大量に使用されるため、銅価格は国内の住宅市場と連動しています。つまり、非農業部門雇用者数、住宅ローン金利、GDPなどの住宅市場に影響を与える要因が銅価格にも影響を及ぼすことがあるのです。
代替金属
最後になりますが、代替金属への置き換えも銅価格に影響を与えます。銅価格が上がりすぎると、買い手はより安い代替品を求めるようになり銅の需要が減少します。例えば、2000年代半ばに銅価格が上昇したことで、配線や自動車生産でアルミニウムの使用が進んだのです。



銅の取引方法
銅は商品市場での先物やオプション、ETF(上場投資信託)など多くの方法で取引されています。また、スプレッドベッティングやCFD取引も銅の取引で使用することができます。銅の取引方法の記事では、安定した取引に役立つテクニカル分析戦略について詳細に解説しています。
銅を取引する理由
銅を取引する理由は金や銀のケースとは若干異なります。銅はトレーダーに人気がある商品で様々な用途がありますが、供給量が非常に豊富なのです。つまり、金や銀には固有の価値がありますが、銅価格はその実用性と結びついているのです。
また、銅価格は経済の健全性を測る指標と見なすことができます。そのため、銅は経済学の博士号を持っていると比喩されて「ドクター・コッパー」というニックネームで呼ばれています。こうした理由から、銅は世界の成長やGDPに対する見解にもとづいてポジションを取る機会を見出すことができます。
しかしながら、銅への投機はリスクもともないます。経済が減速すれば、もちろんマーケットは低迷します。また、他の金属と同様に銅の供給は有限であり、今後60~70年で世界の埋蔵量が枯渇すると言われています。
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