上部の動画は、トレーダーが常に正しい道を歩むために役立つルールと信条を概説している。中には決まり文句のように感じるものもあるが、決まり文句が生まれる理由は時間をかけて検証された真実を持つからである。例えば、トレードを成功させるためには厳格なリスク管理戦略が不可欠であることは異論がないはずだ。以下の概念には重複する部分があるが、それはトレードに必要で強調すべき要素であるからだ。
ルール1. リスク管理に関するもの以外、すべてのルールを破っても問題ない
すべてのルールを破っても生き残ることは可能だが、リスク管理に注意しなければ、ほぼ間違いなくトレードから脱落することになる。トレードごとのリスクを小さくする、口座全体の管理、ストップロスを遵守するなどの厳格なリスク管理は、トレードの優位性を上げて利益を出し、次の日も戦い続けるために欠かせないものである。
世界最高のトレード戦略を有していても、優れたリスク管理がなければ、最終的には事態が悪化し、破滅的な結果につながる可能性がある。優れたリスク管理は、トレードがもたらすストレスを大幅に緩和し、より客観的な意思決定を可能にする。このトピックについては、リスク管理に関するウェビナーが参考になるだろう。
ルール2. 大きすぎるトレードより小さすぎるトレードの方が良い
ポジションサイズを縮小させることに関しては、リスク管理に通じる部分があり、最重要と言っても過言ではない。ポジションサイズは、必要な利益をあげて、トレードへの集中を維持させるのに十分な大きさでありながら、客観性と規律を失わないことが最善である。もちろん破滅的な損失が出る危険性がないサイズでなければならない。ただし、リスクに対する許容度は、トレーダーによって異なることには注意が必要だ。自身が納得できるリスクでトレードしてほしい。



ルール3. 無理にポジションを持つ必要はない
多くの場合、最適なポジションはトレードしていない第三者の立場でいるときだ。トレードの誘惑に負けたり、トレーダーとしての仕事を感じられなかったりして、望んでいない相場に巻き込まれてしまうこともあるだろう。参加すべきではないマーケットで、無理にポジションを持つ必要はない。
ルール4. 良いトレードは自然と現れる
集中力を維持して調査することは重要だが、トレードプランに合った機会を見つけることを負担にするべきではない。良いトレードの機会は、自然と現れるものだ。オーバートレードよりも、心に余裕をもたせたトレードの方がよいはずだ。無理にトレードすると、不必要な損失やフラストレーションが生じ、結局は失敗が多くなる。
トレードの機会は、ボラティリティのサイクルによってまとまって現れることが多い。そのため突然、トレードの頻度が多くなったり、少なくなったりする可能性があるが、トレードプランを実行すれば、十分に対処できるはずだ。トレードプランを作成していない場合は、すぐにでも着手したほうがよい。
ルール5. 迷ったら手を出さない
「迷ったら手を出さない」は、「無理にポジションを持つ必要はない」、「良いトレードは自然と現れる」の項目に関連するが、自身の感情を管理することにも当てはまる。もしトレードに迷っている場合は、一旦離れてから後で戻ってくればよい。疑いながら不安を抱えてトレードをしているなら、その原因を特定してほしい。その時点で、質の高いトレード機会がないことが原因であるかもしれないが、それ以外の根本的な原因がある可能性も考えられる。損失に対する嫌悪感や、その他の感情にとらわれていることもあり得る。少し自分自身を見つめることで、その原因を突き止められるかもしれない。例えば、トレードに乗り気ではなく損失を回避している場合は、自信が回復するまではリスクをおさえた小さいポジションサイズでのトレードを試してみてほしい。
ルール6. 損失はトレードの一部であり、それを受け入れる
損失をトレードの一部として受け入れることは、トレーダーによっては困難かもしれない。一般的に、トレーダーは負けることは好まないはずだ。だが、トレーダーは負けることを本当に受け入れなければ、より多くの損失を出してしまうだろう。正しいトレードとは、常に正しいことをすることではなく、正しいタイミングで多くの利益を得ること、誤ったタイミングでは損失が出るものであることを覚えておいてほしい。一流のトレーダーでさえも、そのキャリアにおいて多くの損失を出しており、損失を出しても先に進む能力に誇りを持っているのである。
ルール7. ウォッチリストを縮小する
トレードの経験が浅い人ほど、ウォッチリストを縮小することは重要である。あまりにも多くのマーケットを観察して参加すると、対処できなくなる可能性がある。マーケットはすべて同じようにトレードされているわけではなく、小さい領域の特性に精通することは、トレードの機会を見つけるために役立つはずだ。自身の世界をできるだけ小さく保つと同時に、自身を制限しないことが大切である。誰もがトレードしやすい領域があるはずだ。マクロ的な分析をおこない多くのマーケットに焦点を当てるトレーダーもいれば、株価指数やFXなど1つのアセットクラスに焦点を絞るトレーダーもいるはずだ。自分自身にとってトレードしやすい領域を見つけてほしい。トレードできるからといって、すべてを観察してトレードしてみる必要はない。
ルール8. 定期的に一歩引いてみる
トレードに対して、常に100%注力することはやめたほうがよい。心身ともに消耗するリスクがある。定期的に休みを取ったり、マーケットが動くのを恐れて休みを取ることを忘れたりしないようにしてほしい。リフレッシュするために小休止を取り、定期的に自身のトレード内容を見直すことは、軌道を維持し、改善するために役立つはずだ。トレードが困難だと感じた場合は、マーケットから一度離れて、別の日に戻ってくればよい。
ルール9. トレードでストレスを多く感じている理由は、自分自身に原因がある
トレードが困難なことは疑いようがないが、困難な理由は自分自身との闘い(ルールの維持や感情の管理)に起因することが多いはずだ。ストレスを引き起こす要因としては、トレードプランがない、質の悪いトレードのセットアップを使用する(衝動的なトレードは破滅的である)、リスクを取りすぎていると理解しているのにリスクを取りすぎる、恐怖心からポジションを何度も修正する(多くの場合、ポジションサイズが原因である)ことなどが挙げられる。ただし、どの要因も回避できるだろう。
言うまでもないが、トレードを必要以上に複雑にすることは避けてほしい。自身のトレードをできるだけ体系化し、主観的な変数にはルールを追加して、「あいまいさ」を減らすようにする。例えば、トレンドフォローのトレーダーであれば、トレンドのないマーケットや、トレンドに逆らったトレードを実行しないように、トレンドに関する簡単なフィルターを用いることである。
ルール10. トレードプランを作成する
誰もが何かしらの計画を持っているはずだ。何も考えずに衝動的に行動しても、うまくいかないだろう。50ページ超のビジネスプランを作成する必要はないが、少なくとも、重要な質問にすべて回答できるレベルの詳細なフレームワークを持つとよい。そしてもちろん、リスク管理は最重要なセクションであるため、まず着手してほしい。トレードの方法をよく理解していない初心者でも、リスクを管理する具体的な計画から始めることが大切だ。
--- マーケットアナリスト ポール・ロビンソン著
ロビンソン氏に連絡するには、TwitterでPaulRobinsonFXまでお願いいたします。