今回は、経験が浅いトレーダーと豊富なトレーダーの両方で発生しやすい失敗について解説していく。さらに、これらの失敗を修正する方法についても説明する。
まず自己認識により失敗を特定し、そのプロセスに注目し、1つずつ修正していくことが重要である。一度にすべてを修正しようとすると、自分自身では対処不可能になり、結果的に自身の成長に悪影響を与えることになる。対応するスピードを遅くすることで、より早く、より良い結果が手に入るだろう。
以下では最初に挙げられていないが、トレーダーとして初日であろうと、1001日目であろうと、リスク管理はすぐに解決しなければならない分野である。



FXの失敗例1 – トレードプランがない
トレードプランを持っているトレーダーは非常に少なく、実際には手探り状態のままトレードしていることが多い。トレードプランは詳細である必要はなく、数ページで十分だ。ただし、詳細に計画している方が望ましい。リスク管理の方法、意思決定プロセスの概要、最適なトレードのセットアップ(参考になる例を含める)、ドローダウンと成功している期間の両方をどう扱うのかなどの内容をおさえる必要がある。
FXの失敗例2 – 不十分なリスク管理
トレーダーが犯す最大の失敗は、リスク管理が不十分なことである。1回のトレードで大きなリスクを負うことは、潜在的な危険性がともなう。自身の安全な範囲でトレードを実行しなければ、意思決定プロセスが大きく損なわれてしまうだろう。恐怖と不安は失敗を引き起こす可能性が高く、フラストレーションとさらなる失敗につながるはずだ。ポジションサイズに一貫性がないことも大きな問題であり、悪い結果の要因になり得る。トレードごとのリスク範囲は、比較的狭くすることを保つべきである。例えば、あるトレードで0.5%のリスクを取り、別のトレードで3%のリスクを取ることは、一貫性を保つことがt大変困難になる。
トレードの基礎知識
トレードと規律
推薦者: Paul Robinson
さらに、リスクリワード比率が低いことも問題である。トレーダーのリスクリワード比率は1:1か、それ以下であることが非常に多い。これでは、高い勝率が求められることになる。トレードスタイルによっては、勝率を50%に設定することが妥当であるが、1:1では損益がゼロになるだけだ(トレードでかかるコストは考慮していない)。リスクとリターンを自分自身に有利になるように調整し、リスクに見合ったリターンを得ているかを確認しなければならない。リスクリワード比率が1:2であれば、リスク管理として望ましいだろう。
ストップ注文は常に利用すべきであり、それを遵守することが最重要である。ストップ注文を利用しないのは危険なトレード方法だ。さらにストップ注文を移動させることは、実質的にストップ注文を利用していないことと同様である。
また、同時に保有しているすべてのポジションにおける、総合的なリスクを把握したほうがよい。1つのポジションにつき通常のリスクで3つのポジションを保有している場合でも、トレードしている通貨ペアの相関性により、実質的に1つの大きなポジションを保有していることがある。例えば、3つの日本円が絡む通貨ペアをロングポジションで保有している場合、それぞれのポジションを1つの大きなポジションとして扱い、リスクを3つのポジションに分散させる必要がある。
FXの失敗例3 – 資金不足
自分自身の資産状況を把握し、失ってもよい資金だけをリスクにさらすことが大切である。ダウンサイドリスクを把握することは、賢明な資金管理であるだけでなく、リスクと不確実性で引き起こされるストレスを軽減することにもつながる。トレードは、余計なストレスや複雑性を加えなくても、十分に困難なものである。



FXの失敗例4 – 過剰なトレード数
トレーダーは常に、この問題に直面している。質の高いトレードに混じって、平凡なトレードが多ければ、最適なパフォーマンスが得られないことになる。活動レベル(トレード数)と収益性の間には、逆相関関係が存在する。トレード数が多いほど収益性は低くなり、トレード数が少ないほど収益性が高くなる。トレーダーが投資機会をより精査した場合(堅実なトレードプランを遂行している)、はるかに効率的な結果が生じるだろう。
効率的なトレードを実行するには、正しいプロセスを歩むためのチェックリストを利用することだ。チェックリストは、自身のトレードプランを反映させたものを用意する。初心者トレーダーは物理的なチェックリストを利用したほうがよいが、経験を積むにつれて、頭の中でそのプロセスを実行できるようになる。トレードにエントリーする理由とリスク条件をチェックリストで確認することで、実行すべきではないトレードを避けることが可能になる。
FXの失敗例5 – 複雑化しすぎる
「K.I.S.S. Keep It Simple Stupid(できるだけ簡単にせよ)」の原則を覚えておいてほしい。多ければ良いということではなく、多いということは単に多いということを表しているだけだ。2つ以上の要因が重なる場合は、良いアプローチになるが、これらの要因に相関関係がないことを確認する。例えば、トレンドや買われすぎ・売られすぎの状態を定義するために、異なる3つの方法は必要ない。
テクニカル分析をおこなうトレーダーにとっては、トレンド、サポートライン・レジスタンスライン、買われすぎ・売られすぎ、値動きの状態を特定するために1つずつの要素を組み合わせることが適切だろう。関連性がない要素の組み合わせは、トレードを実行するか否かを判断するための包括的なアプローチを可能にする。
FXの失敗例6 – プロセスではなく結果に固執する
トレーダーはトレードの結果に固執する場合が多いが、他の成果主義的な活動と同様に、長期的には大きな弊害をもたらす可能性がある。なぜなら良い結果を達成するために、したがうべきプロセスを見失ってしまうからだ。トレードは常に自分自身の現在地を把握し、道を踏み外した場合は軌道修正することが重要である。
トレードプランを定期的に見直す、日記をつける、おこなったトレードを定期的に評価する、マーケットから離れてルールを見つめ直す。これらはプロセスに集中するために必要であり、自身のおこなったトレードを理解し、安定した軌道を維持させるために効果的である。
--- マーケットアナリスト ポール・ロビンソン著
ロビンソン氏に連絡するには、Twitterで@PaulRobinonFX までお願いいたします。