AUD、CAD、MXN、USD、JPY、資源国、原油、IG顧客センチメント―トーキングポイント
- 豪ドル:対ドルで中立、対円で上昇
- カナダドル:上昇(対ドル)
- メキシコペソ:上昇(対ドル、対円)



メキシコの快進撃は続くのか?
豪ドル、ニュージーランドドル、カナダドル、メキシコペソの最近の対米ドルでのパフォーマンスを確認すると、メキシコペソが最も強含んでおり、豪ドルはその他の資源国通貨に劣後している。

資料:Trading Economics。2月末を100として指数化。対米ドルパフォーマンス。
メキシコペソが強含んでいる背景として魅力的な実質金利水準が上げられるが、資源国通貨(豪ドル、カナダドル、メキシコペソ)の今後の見通しは?メキシコは18日に金融政策決定会合が開催。

資料:Trading EconomicsよりDailyFX.comが作成。10年名目国債利回り―ヘッドラインインフレ率(前年比)にて算出。
豪ドル/米ドル:豪ドル安の可能性もテクニカル面を踏まえて中立
3月以降レンジ相場が継続。IGプラットフォーム上での取引に基づいた個人トレーダーのセンチメントを表すIG顧客センチメント(IGCS)を見ると、過去と比べるとネットロングの割合は低い(豪ドルに強気な投資家が過去と比べて少ない)。IGCSは時に逆張り指標として機能することがあるが、ネットロング(豪ドルに強気)の個人トレーダーが先週から増加している。このことを考えると、豪ドル安が進展する可能性がある。
IG顧客センチメント:AUD/USD




資料:IG顧客センチメントより抜粋
テクニカル面では、RSIはほぼ中立の50、移動平均線もほぼ横ばいであり、明確なトレンドを示唆しておらず、当面のサポートは3月安値の0.65369である。一方、上値の目処は2月から3月の豪ドル安米ドル高に基づくフィボナッチリトレースメント38.2%水準の0.67907である。
豪ドル/米ドル日足チャート

資料:Trading Viewより作成
豪ドル円:豪ドル高円安
RBAの利上げ継続の可能性が残る一方、日本銀行は当面の金融緩和維持が見込まれ、金融政策格差の観点では豪ドル高円安が見込まれる。豪ドル円は中立を示唆する対称三角形(シンメトリカルトライアングル)パターンを形成していたが、上限を上方ブレイク、豪ドル高円安トレンドを示唆している。RSIも豪ドル高の過熱感を示唆しておらず、水平レジスタンスである93.036円への上昇を見込む。一方、米国債務上限問題や金融不安が高まり、リスクオフの流れが強まった際には、サポートラインである88.248円へ下落(豪ドル安円高)する可能性がある。
豪ドル円日足チャート

資料:Trading View
米ドル/カナダドル:カナダドル高
重要な水平サポートラインである1.36541を下方ブレイク(米ドル安カナダドル高)した後、同水準が強固なレジスタンスとなっている。主要産品である原油価格は71ドルに低迷している。70ドルを下回った際には米国政府による石油備蓄(SPR)のための購入が実施される可能性があり、原油価格の大幅な下落は見込みづらく、原油価格下落によるカナダドル安圧力は今後限定的と考える。また、金融市場ではカナダ銀行による利下げが織り込まれており、一段の利下げ織り込みに伴うカナダドル安圧力は限定的であろう。
USD/CADと原油

資料:Trading View
米ドル/カナダドルの週足チャートを確認すると、米ドル安カナダドル高を示唆するトリプルトップを形成しており、水平サポートラインかつ心理的節目である1.30へのカナダドル進展を見込む。
USD/CAD週足チャート

資料:Trading Viewより作成
米ドル/メキシコペソ:メキシコペソ高継続
週足チャートを確認すると、9、20、50、200期間指数移動平均線が下向き、かつ下から順の米ドル安メキシコペソ高を示唆する「パーフェクトオーダー」が引き続き成立している。日足チャートでも同様に9、20、50、200日指数移動平均線がメキシコペソ高を示唆する「パーフェクトオーダー」が引き続き成立しており、一段の米ドル安メキシコペソ高を見込む。23年1月まで形成していたそれまでのメキシコペソ高トレンドの継続を示唆する下降レクタングルパターンの価格幅からは16.85までのメキシコペソ高を見込む見込まれる。主要輸出品目の原油価格の一段の大幅下落の可能性が低いこともメキシコペソのサポート要因である。
米ドル/メキシコペソ週足チャート

資料:Trading Viewより作成
メキシコペソ/日本円:メキシコペソ高継続
対円の週足チャートはパーフェクトオーダーが成立しており、メキシコペソ高円安を示唆している。また、メキシコペソ高を示唆するアセンディングトライアングルパターンが成立している。パターンの上限7.6822を明確に上方ブレイクした場合、ペソ高トレンドが鮮明になり、2020年4月から10月の上昇に基づいたフィボナッチエクステンション38.2%水準の7.8851が視野に入る。
メキシコペソ/日本円週足チャート

資料:Trading View
--- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著