FOMCが終了、日銀金融政策決定会合の結果発表が迫る。米ドル円は神経質な動向が続いているが、今後の見通しは?



サマリー
- 日銀会合を控え、ドル安円高への警戒感が高まっている
- 金融市場では、FRBの据え置きではなく、利上げ織り込みが開始
- 日銀会合の結果、想定されるドル円の値動きは?
円高進行への警戒感
FOMC(米連邦公開市場委員会)では、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げが決定されたものの、パウエルFRB議長は、その後の利上げはデータ次第との見方を示した。金融市場では、更なる利上げが強く示唆されなかったことから、9月FOMCでの利上げ確率を20%程度、来年1-3月からの利下げを織り込んでいる。
28日は日銀金融政策決定会合の結果が公表される。米ドル円の通貨オプションデータを確認すると、日本銀行の金融政策修正との思惑が燻っており、ドル高円安やUSドル円の急変動に対する警戒感が高まっている。日銀が金融緩和政策の維持を決定した場合や当面の金融緩和環境を示唆した場合、政策修正に伴う円高進行への警戒感が後退、ドル高円安が進行する可能性がある。

資料:BloombergよりDailyFXが作成
FRBは当面据え置き≠利下げ
金融市場では、2024年初めからFRBによる利下げ実施を織り込んでいるものの、米国景気は底堅く、インフレは依然として高止まりしている。賃金の伸びも減速しているものの、鈍化ペースは緩やかであり、一段の利下げ織り込みの進展は見込みづらい。米国景気の底堅さが改めて示されるにつれ、利下げ織り込みから当面据え置きとの見方に金融市場が変化していくことを見込む。利下げ織り込みの剥落は、米国短期債利回りの高止まりを通して、米ドルのサポート要因になることを見込む。

資料:BloombergよりDailyFXが作成
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 18% | 4% | 7% |
週次 | -10% | 3% | 0% |
米ドル円の見通し
米国利上げ織り込み剥落に伴い、ドル安円高が一時進展した。その後反転したものの、6月30日から7月14日のドル円の値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント61.8%水準142.078で弾き返され、現在は140.03レベルで推移している。RSIは約50、MACDライン及びシグナルラインもほぼ横ばいであり、明確なドル円のトレンドは示しておらず、テクニカル面では中立である。
日銀金融政策決定会合にて、金融政策の現状維持が決定された場合、円高進行への警戒感が後退、フィボナッチ61.8%水準142.08レベルのトライを見込む。上方ブレイクした場合、ドル円の上昇の勢いが強まり、143.00レベルが視野に入る。
一方、日本銀行がイールドカーブコントロール政策(YCC政策)を修正した場合、ドル安円高が進行しよう。フィボナッチ23.6%水準139.08レベルでサポートされるかに注目。下方ブレイクした場合、短期的な影響にとどまると見込んでいるものの(「日本株見通し:日銀会合控える中、CPIの結果を受けて」参照)、一時的に7月14日安値137.24レベルをトライする展開が想定しておきたい。
USDJPY日足チャート

資料:Trading View



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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著