米国消費者物価指数が公表された。14日ECB理事会、20日FOMC、22日日銀会合と日米欧の金融政策決定会合を控える中、ドル円、そしてユーロドルの今後の見通しとは



サマリー
- 米国CPIの結果
- ドル円・ユーロドルの個人トレーダーセンチメント
- ドル円・ユーロドルの見通し
米国CPI、そしてFOMCへ
20日にFOMC(米連邦公開市場委員会)を控える中、8月分の米国CPI(消費者物価指数)が公表された。総合CPI(ヘッドライン)の前年と比べた伸びは3.7%となり、2カ月連続で伸びが加速したもの、基調的なインフレ圧力を示すコアCPI(コアインフレ)の前年比は4.3%となり、まちまちの結果であった。

資料:BloombergよりDaily FXが作成
米国CPIがまちまちの結果であったことから、金融市場でのFRBの政策金利見通しに対する影響は限定的であった。金融市場では、年内あと1回の利上げがあるかで意見が分かれている。
そのため、FOMCでは、11月以降のFRBの政策金利見通し、利上げサイクルの終了の可能性が高まるかに注目。FRBの利上げ終了との見方が強まった場合、米国金利の低下に伴い、米ドルが対円、対ユーロで下落する可能性がある。
このような中、個人トレーダーのセンチメントはドル円が下落(ドル安円高)、ユーロドルが上昇(ユーロ高ドル安)することを示唆しているが、ドル円およびユーロドルの見通しとは。詳しく見てみたい。
ドル円の個人トレーダーセンチメント
逆張り指標として機能する傾向のあるIG顧客センチメント(IGCS)によると、USDJPYを取引する個人トレーダーの約25%がネットロング(USD買い持ち・JPY売り持ち、ドルに強気)にしている。ほとんどの持ち高はネットショート(USD売り持ち・JPY買い持ち、ドルに弱気)に傾いており、IGCSは逆張り指標として機能することを勘案すると、ドル高円安が進展する可能性がある。
しかしながら、昨日、先週と比べてネットショートのトレーダー(ドルに弱気)の割合が減少している。このことを考えると、個人トレーダーのセンチメントは、ドル円が下落(ドル安円高)することを示唆している。
IGCS:ドル円




資料:DailyFX.com IG顧客センチメント(IGCS)
米ドル円(USDJPY)の見通し
ドル円は、日本銀行の金融政策を巡る不透明感が高まったことを受け、一時下落したものの、昨年10月から今年1月にかけてのドル円の値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント78.6%水準146.652レベルでサポートされている。
一方、9月7日高値147.872レベルがレジスタンスとして機能しており、ドル円の上値は重くなっている。また、RSIおよびMACDにて、ドル円上昇(ドル高円安)の勢いが衰えていることを示す「弱気の乖離(ダイバージェンス)」が示現している。テクニカル面では、ドル円の上昇基調にかげりが見られる。
20日にFOMC(米連邦公開市場委員会)、22日に日本銀行による金融政策決定会合を控える中、日米の金融政策を巡る不透明感が高まっており、ドル円は当面方向感の出にくい展開を予想する。
20日のFOMCにて、米国の追加利上げや、高い政策金利を維持、もしくは22日の日銀会合にて、当面の金融緩和維持との見方が強まった場合、9月7日高値147.872レベルを上方ブレイクし、ドル円の上昇圧力が再度強まることを見込む。
一方、FRBの利上げ終了や、日本銀行が早期に金融政策を修正するとの観測が高まった場合、ドル円は、6月30日高値145.07レベルでサポートされるかに注目。下方ブレイクした場合、7月中旬以降のドル円の上昇トレンドが終了した可能性が高まる。
USDJPY日足チャート

資料:Trading View
ユーロドルの個人トレーダーセンチメント
逆張り指標として機能する傾向のあるIG顧客センチメント(IGCS)によると、EURUSDを取引する個人トレーダーの約65%がネットロング(EUR買い持ち・USD売り持ち、ユーロに強気)にしている。半分以上の持ち高はネットロング(ユーロに強気)に傾いているおり、IGCSは逆張り指標として機能することを勘案すると、ユーロ安ドル高が進展する可能性がある。
しかしながら、昨日、先週と比べてネットロングのトレーダー(ユーロに強気)の割合が減少している。このことを考えると、個人トレーダーのセンチメントは、ユーロドルが上昇(ユーロ高ドル安)することを示唆している。
IGCS:ユーロドル




資料:DailyFX.com IG顧客センチメント(IGCS)
ユーロドル(EURUSD)見通し
5月末から7月18日までのユーロドルの値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント78.6%水準1.077レベルがレジスタンス転換しており、ユーロドルの上値が重くなっている。
一方、RSIおよびMACDにて、ユーロドルの下落(ユーロ安ドル高)の勢いが衰えていることを示す「強気の乖離(ダイバージェンス)」が示現している。
ユーロドルの下落基調が継続しているものの、下落圧力は強くないことや個人トレーダーセンチメントはユーロドルの上昇を示唆していることから、14日のECB(欧州中央銀行)理事会、20日のFOMCの結果次第で、ユーロドルが上昇・下落、双方の展開を想定したい。
FRBの利上サイクル終了、もしくはECBの利上げ継続との見方が強まった場合、ユーロドルは、レジスタンスである1.077レベルを上方ブレイクし、7月6日安値1.083レベルへの上昇が視野に入る。
一方、FRBの利上げ継続や、ECBの利上げ終了との見方が強まった場合、ユーロドルは、5月31日安値1.064レベルへ下落(ユーロ安ドル高)することを見込む。ユーロドルが1.064レベルの安値を下方ブレイクした場合、ユーロドルの下落圧力が再度強くなる可能性がある。
ユーロドル(EURUSD)日足チャート

資料:Trading View



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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著