米ドル(米ドル指数)は下落圧力を受ける可能性が高い
米ドルは、2023年前半に5ポイントのレンジで推移しており、第3四半期に向けてこの状況が変化する可能性は低いだろう。FRBは他のG7諸国における中央銀行よりも利下げサイクルで先行しており、現在では利上げを最初に見送る中央銀行の1つになる可能性がある。しかし、欧州中央銀行や英国中央銀行を含む他の中央銀行は、インフレとの戦いで利上げを継続することをすでに明確に示しており、米ドルとの金利差は縮小している。
米ドル指数は、主要6通貨で構成される指数に対して、米ドルの価値を測定するために用いられる。主要6通貨の中で最も大きな割合を占める通貨はユーロ(約58%)であり、続いて日本円(13.6%)、英ポンド(12%弱)である。ユーロと英ポンドは金利上昇によって、さらに支えられると予想されるため、同指数の上値は重くなるだろう。
米ドル指数は、5ポイントのレンジ内において波動パターンの中間にあり、今後数週間はこの状態が続く可能性が高い。上記の潜在的な金利差縮小の展開を考慮すると、特に50日移動平均線と200日移動平均線を下回る水準で取引されていることから、レンジの安値の方向に圧力を受ける可能性が高いと言える。
米ドル(米ドル指数)日足チャート

出所:TradingView、チャート作成:ニック・コーリー
ユーロ/米ドルは高値に向かっての上昇を予想
米ドルの対ユーロ相場を見ても、同ペアは波動パターンの構成とレンジ内での推移が示されている。ユーロ/米ドルは、4月中旬から5月上旬にかけて付けた高値に向かい、次の目標である1.1095まで上昇する可能性がある。また、ユーロ/米ドルがこのレジスタンスゾーンを突破し、2022年3月の高値である1.1185に到達する可能性もある。ユーロ/米ドルは現在、3つの移動平均線すべてによってサポートされている。この状態が変化するためには、テクニカル分析よりもファンダメンタルズ的な要因によって引き起こされる可能性が高い。
ユーロ/米ドル 日足チャート

出所:TradingView、チャート作成:ニック・コーリー