米ドル相場の見通し:
- 米ドル(DXY指数)は先週、年初来高値を更新した後、レンジ相場を形成し始めた
- 米国債利回りの低下により、米ドルは円に対して、1998年10月以来の高値水準に達した後、反落している
- IGクライアントセンチメンによると、米ドル/円相場の方向性を読むうえで、市場の見方が分かれていることが示唆されている



FRB の利上げ観測の後退、米国債利回りの低下
米ドル(DXY指数)は先週、2002年12月以来の高水準となる年初来高値を付けた後は横ばいで推移している。この動きは、ここ数日の米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測の後退と米国債利回りの低下と歩調を合わせており、これらの要因が2022年のドル急騰に寄与したことを考えれば、驚くには当たらない。
FRBの利上げ観測の後退と米国債利回りの低下は、1998年10月以来の高水準に達した後、反落した米ドル/円相場に特に直接的に影響している。しかし、日米の利回り格差は依然として大きく、今後数ヶ月間でさらに拡大する可能性が高いため、目先の円高ドル安の動きは間もなく「米ドル押し目買い」の機会を与えるかもしれない。
DXY指数 テクニカル分析:日足タイムフレーム(2021年6月-2022年6月)(図1)

DXY指数はここ数日間、FRBが利上げを決定した先週中頃に形成された高値/安値圏(103.42/105.79)内を横ばいで推移している。ドル高の勢いは止まっているが、EMA(指数平滑移動平均線)はEMA (5)、EMA(8)、EMA(13)、EMA(21)の順で並んでおり、依然として上昇トレンドが続いていることを示唆している。日足スローストキャスティックスは買われ過ぎの領域から抜け出しており、日足MACD(マックディー)はシグナルラインを上回る局面で、近いうちに売りのシグナルを発する可能性がある。105.79を超えるか、103.42を下回るかで、より明確な方向性が確認できるだろう。



米ドル/円 テクニカル分析:日足タイムフレーム(2021年6月-2022年6月)(図2)

昨日、米ドルは円に対して1998年10月以来の高水準まで上昇したばかりであり、この2日間の下落は必ずしも相場の方向性を示す動きとは言えない。しかし、FRBの利上げ観測後退の流れと米国債利回りの低下が続けば、米ドルは再び高値を更新する前に大きな下落圧力にさらされるかもしれない。5月30日と6月16日の安値からの上昇トレンドラインは、EMA(21)(1ヶ月移動平均)ときれいに一致しており、過去3週間の上昇トレンドが現在のペースで維持されれば、重要な転換点と考えるべきであろう。6月上旬に言及したように、「目先は『押し目買い』という考え方が適切」である。
IGクライアントセンチメント:米ドル/円予想(2022年6月23日)(図3)

米ドル/円:リテールトレーダー・データによると、トレーダーの24.12%が買い持ち(ネットロング)しており、トレーダーのショートとロングの保有比率は3.15対1。買い持ちのトレーダー数は昨日より8.67%減少、先週より8.18%上昇している一方、売り持ち(ネットショート)のトレーダー数は昨日より7.89%低下し、先週より1.63%高くなっている。
弊社は通常、市場心理とは逆の見方をしており、トレーダーが売り持ちしているということは、米ドルは円に対して、引き続き上昇する可能性があることを示唆していると見ている。
ポジショニングは昨日よりも売り持ちに傾いているものの、売り持ちは先週よりも少なくなっている。現在のセンチメントと最近の様々な状況の変化を鑑みると、米ドル/円為替市場ではさらに相場に対する見方の混在化が進むと考えられる。
-- DailyFX.com CFA、シニア・ストラテジスト クリストファー・ベッキオ著