トルコリラ、TRY、トルコ中銀、エルカン総裁、為替介入、TRYJPY、USDTRY―トーキングポイント
- エルカン新トルコ中銀体制での初の金融政策決定会合議事録が公表
- 前回の利上げは最初のステップとし、今後の利上げ継続を示唆
- 従来の低金利政策からの転換を示唆する中銀の行動が見られる
- 次回20日会合の結果次第なものの、テクニカル面ではTRY安の反転の兆し



トルコ中銀、前回利上げは最初のステップ
エルカン新トルコ中銀総裁体制での初の金融政策決定会合が先月開催され、8.50%から15.00%へ約2年ぶりに政策金利が引き上げられたものの、20%を超える水準を予想していた市場予想を大幅に下回る利上げ幅であった。市場予想を大幅に下回る利上げ幅であったことから、失望売りを招き、トルコリラは大幅に下落した。6月会合における中銀議事録が公表され、先月の利上げは「最初のステップ」であることが示された。

資料:Trading Economics
インフレ抑制には通常「高金利」が必要であると考えられているものの、エルドアン大統領はインフレ抑制に「低金利」が必要であると主張している。通常とは異なる、エルドアン大統領の高インフレは、「高金利」が元凶という主張と対立し、トルコの中銀総裁は相次いで後退している。
次回20日会合で再度利上げ幅が小幅であった場合、インフレ抑制のために「低金利」が必要というエルドアン大統領の意向に沿った金融政策運営が今後も実施されるとの思惑から失望売りを招き、一段とトルコリラ安が進展する可能性がある。
金融政策を巡る不確実性は高いものの、政策運営の変化の兆しが見られる。インフレ水準に比べて極端に低い政策金利水準を受け、トルコリラは大幅に下落している。トルコリラを支えるために、中央銀行は為替介入を使って通貨トルコリラを支えようとしてきた。足元は、為替介入のための原資である外貨準備高が増加しており、トルコ中銀が為替介入の頻度を減らしたことを示唆している。このことは、中銀は為替介入ではなく、政策金利を引き上げることで今後通貨トルコリラをサポートしていくことを示唆している可能性がある。次回会合にて大幅な利上げが実施された場合、インフレ抑制のための適正な金融政策運営への期待感が高まり、トルコリラが上昇する可能性がある。

資料:BloombergよりDailyFX.comが作成。
米ドル/トルコリラの見通し
日足チャートで、弱気の乖離(ダイバージェンス)が示現しており、米ドル高トルコリラ安の勢いが衰えてきていることを示唆している。MACDラインは下向きかつ、シグナルラインと交差する「デッドクロス」が目前であり、米ドル安トルコリラ高トレンドへ転換しつつあることを示唆している。テクニカル面では、トルコリラ安トレンドの反転に向けた下地が整いつつある。トルコ中銀が大幅な金融引き締めに転じた場合、前回金融政策決定会合前の水準である1米ドル当たり23.4975レベルを超えてトルコリラ高が進展する可能性が高まる。
USDTRY日足チャート

資料:Trading View
トルコリラ/日本円の見通し
日足チャートで、MACDラインが上向きかつ、シグナルラインを上抜ける「ゴールデンクロス」が成立している。加えて、RSI及びMACDで強気の乖離(ダイバージェンス)が示現しており、トルコリラ安円高の勢いが衰えていることを示している。米ドルトルコリラ同様、テクニカル面では、トルコリラ安トレンドからの反転の下地が整いつつある。トルコ中銀が大幅な金融引き締めに転じた場合、前回金融政策決定会合前の水準である1TRY当たり6.026レベルを超えてトルコリラ高が進展する可能性が高まる。
TRYJPYチャート

資料:Trading View



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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著