FXテクニカル分析:ポンドドル(GBPUSD)
【サマリー】
- 対米ドルだけでなく対ユーロでもポンド安が進行中
- 上昇基調を維持するポンドドルの予想変動率
- 攻防分岐は1.16レベル この水準を下方ブレイクする場合は下落幅の拡大を警戒
- 反発の局面では3つのチャートポイントが焦点に



・プロジェクション61.8%の下方ブレイクは下落幅拡大のシグナル
今月24日の分析記事では、ポンドドル(GBPUSD)について取り上げた。
その際、ポンドドルの下落幅が拡大することを予想した。
この時の分析記事で指摘したとおりポンドドルは上値の重い状況が続き、今日の東京時間には何度か相場をサポートしたフィボナッチ・プロジェクション61.8%の水準1.1733レベルを大陰線で下方ブレイクした。
サポートポイントであり、かつ重要なテクニカルの水準でもある1.1733レベルの下方ブレイクは、ポンドドルの下落幅がさらに拡大するシグナルとして捉えたい。
ポンドドルのチャート
TradingView 日足(今年5月以降)
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 0% | 5% | 3% |
週次 | 1% | -10% | -5% |
・上昇基調を維持する予想変動率
ポンドドルの予想変動率(インプライド・ボラティリティ)のトレンドを確認すると上昇基調にあり、今は12%前後で高止まりしている。今年の4月、6月そして7月にも同じ状況が見られた。その時は、いずれもポンドドルの下落幅が拡大した。
先週26日のジャクソンホール・シンポジウムでパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長はインフレ抑制重視のスタンスをあらためて表明。
パウエル氏の講演内容に特段目新しさはなかったが、米国市場が「金利上昇 / 株安」で反応した事実も併せて考えるならば、現在の予想変動率の上昇基調はポンドドルの下落幅がさらに拡大するシグナルと想定しておきたい。
ポンドドルの予想変動率
ブルームバーグのデータより作成 / 日足(年初来)/ 29日13時時点
・対ユーロでもポンド安優勢の展開に
ポンドドルの下落幅を予想するもう一つの理由が、対ユーロでの下落である。
ポンドユーロ(GBPEUR)のトレンドを確認すると、トライアングルの下限(短期サポートライン)を下方ブレイクしていることがわかる。
高インフレの問題とそれに伴う景気の先行きリスクというテーマはポンド相場もユーロ相場も同じである。
それにも関わらず、先週26日に大陰線が示現し、今日の東京時間にあっけなくトライアングルの下限を下方ブレイクした。これらの背景にあるのは、欧州中央銀行(ECB)の大幅利上げの思惑だろう。
この点について短期金融市場では、来週8日の理事会でECBが75bps(ベーシスポイント)の利上げを決定する可能性を織り込み始めている。
すでに大幅利上げを実施しているイングランド中央銀行(BoE)とは違い、これからそれを決定するECBの行動の方が外為市場に影響を及ぼしていることを26日以降の相場は示唆している。
ゆえに、思惑先行で「ポンド売り/ユーロ買い優勢」の展開になっていると考えられる。
ポンドユーロのチャート
TradingView 日足(今年6月以降)
テクニカル分析入門
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・次の焦点は1.16の攻防
予想どおりにポンドドルの下落幅が拡大する場合、目先の焦点は1.16の攻防となろう。
フィボナッチ・プロジェクション76.4%の水準は、1.1600レベルの水準にあたる。
61.8%水準の時と同じく、ひとまずこのテクニカルポイントで相場の下落が止まれば、短期的なサポートポイントとして意識しておきたい。
逆に76.4%の水準をも大陰線であっさりと下方ブレイクする場合は、フィボナッチ・プロジェクション100.0%の水準1.1387レベルの攻防が次の焦点として浮上しよう。このテクニカルポイントをトライするシグナルとして、1.15レベルのトライ&ブレイクに注目しておきたい(日足チャートの赤ライン)。
ポンドドルチャート
TradingView 日足(今年5月下旬以降)
テクニカル分析入門
フィボナッチ
フィボナッチとは何か?
・反発局面では3つのチャートポイントに注目
ポンドドルが下落トレンドを維持しているといっても、下落一辺倒を維持する相場は存在しない。よって、調整の反発も常に意識しておきたい。
「米金利の低下→米ドル安」の局面では、ポンドドルが最も反発しやすい。
実際にポンドドルが反発する場合はー
①フィボナッチ・プロジェクション61.8%の水準1.1730レベルがサポートからレジタンスへ転換するかどうか
②26日の上昇を止めた10日線(MA)がレジスタンスラインとして意識され続けるかどうか
③1.1900レベルがサポートからレジタンスへ転換するかどうか
まずは、上で挙げた3つのチャートポイントでの攻防に注目したい。
これらチャートポイントで反落する場合は、ポンドドルの下落トレンドが続く展開を想定しておきたい。
ポンドドルチャート
TradingView 日足(今年5月下旬以降)